7月, 2017年

【宮城県本】北上京だんご本舗分会 仙台地裁で完全勝訴判決 分会長の懲戒解雇は無効

2017-07-31

これまでの裁判の経緯

北上京だんご本舗分会では、昨年2月22日の分会公然化の後、会社側が分会長の不当解雇等を行ったため、以下の2つの法廷闘争を闘ってきました。

①宮城県労働委員会での不当労働行為救済申立事件
分会長の不当解雇(不利益取扱い)や団体交渉拒否などについて、昨年4月13日に申立をしました。現在は結審して、命令が出るのを待つ状況にあります。
②仙台地裁での労働審判
分会長の不当解雇に対して、労評顧問弁護士の指宿弁護士中井弁護士を代理人とし、昨年6月22日に労働審判を申立しました。

こちらは昨年11月に、分会長の懲戒解雇を無効とする組合側全面勝利で決着し、分会長は北上京だんご本舗において労働契約上の権利を有する地位にあることが確認されました。

このうちの②の労働審判の後、北上京だんご本舗の経営者側が異議申し立てを行ったため、これまで仙台地裁にて裁判で争ってきました。

組合側の完全勝利の判決が下る

そして本日7月28日、仙台地裁にて組合側の完全勝利の判決が下りました。

裁判所は、労働契約法16条「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,又は社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして無効になる」に照らし合わせて、

「被告は,原告に対して,本件解雇を通知するに際し,原告が労評に所属して組合活動を行っていることを問題にした上,原告に対し,本件解雇を回避する条件として,労評を脱退し,組合活動への参加を中止することを繰り返し要求したものであり,被告は,原告に対し,組合活動の中止及び労評からの脱退と本件解雇の二者択一を執拗に迫ったものであるから,本件解雇は,原告が組合に所属して組合活動を行っていることを理由としたものといわざるをえないところ,不当労働行為性を判断するまでもなく,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当なものとは認められないから,解雇権の濫用として無効である。」

と判断しました。

分会長は職場復帰後に何を目指すか

勝訴判決の確定後、分会長は職場復帰して職場改善を目指していきます。

分会長は元々、自分個人の抱えている問題を個人的に解決するために労評分会を結成したわけではありません。

北上京だんご本舗は過去に全国推奨観光土産品審査会において厚生労働大臣賞を受賞し、「ずんだ」を仙台の名物として全国に広めたという功績があります。その一方で、会社内部には労働基準法違反等の問題が多々あります。分会長は、そんな職場で長年働いてきた中で、「これからの若い世代の方のために、会社を持続・発展させるために、労働者全員が協力して気持ちよく働ける環境にしていくため、このまま歳を取るわけにはいかない」、「会社商品は人気があり売れているのに社内に問題があるから会社が発展しないというのはもったいない、どうにかしたい」という思いから組合を立ち上げました。その思いの実現に向けて、分会長は職場復帰したら、労働者と力を合わせて、すぐさま本格的な職場改善に取り組んでいきます!

凸版印刷の団交拒否に対する救済命令が報道されました。

2017-07-30

7月26日に東京都労働委員会で出された凸版印刷の団交拒否に対する救済命令について報道されました。

 

『パワハラもみ消し「凸版印刷」のお粗末~「団交拒否は違法」都労委が命令』

(レイバーネット)

http://www.labornetjp.org/news/2017/0727toppan

『凸版印刷が組合との団交拒否 都労委に「今後、繰り返さない」と反省文の張り出しを命じられる』

(BuzzFeed JAPAN)

https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170730?utm_term=.iu66kOp7l#.anVpjLbQN

鹿島臨海産業のパワハラ問題 その3

2017-07-30

第二回団体交渉開催!! 社長、またしても逃亡

7月19日、第2回団体交渉が開催されました。組合が団交議題を社長のパワハラとし、事前にパワハラをした本人である社長の出席を再三要請していました。しかし、社長はまたしても逃亡し、前回と同じく、2名の管理職と、社労士(※)だけが出席しました。そして、欠席理由として、社長の診断書を持参し見せてきました。組合としては、当事者がいなくては事実確認のしようがないので、社長を出さない会社側の対応に対し不誠実団交として強く抗議したうえ、要点と要求のみ伝え、この日は終わりました。社長は、弱い立場の従業員に対しては偉そうに威張り散らしますが、団体交渉となって対等な立場で組合と対峙しなければならなくなると決まって病気になるようです。

※この社労士は、前回団交でほとんどの応答を行ったため、組合が非弁行為として懲戒請求を行った社労士です(6月12日付の記事をご覧ください)。もちろん、社長の行ったパワハラについて事実を知るはずもありません。

さて、以下は、前回のブログの続きです。

パワハラ社長の口癖は「いらん!」

お弁当工場に「栄養士」として入社したAさんですが、入社時には会社から業務の一貫として「週2回」客先を回るよう説明を受けていました。しかし、入社後には、「1日2か所」回る、という指示に変わりました。また、会社は次々と新しい栄養士を雇い入れ、そして社長のパワハラと職場環境の悪さから次々と人は辞めていきました。社長は気に入らない労働者に対しては「(お前なんか)いらん!明日から来るな!」と皆の前で平然と言ってのけ、何か問題が起こると社労士などを立てて問題をもみ消す、そのようなことが常態化していました。そんな中、事件は起こりました。

 

「いらん、現場に行け!」突然の配転命令 Aさんへの退職勧奨始まる
2015年8月、導入したての新しいシステムの研修を一緒に受けた同僚が退職し、未経験の仕事を、サッカー合宿用の弁当注文などが増える繁忙期の中で行い、受注ミスが起きました。しかも複数の電話回線が同時に鳴り、1人で対応できなかったため、さらにクレームとなりました。Aさんがクレームを上司に報告したところ、上司からそれを聞いた社長が激怒し、Aさんに対して「いらん、現場へ行け!」と怒鳴りました。Aさんが理解できずに聞き返したところ、社長は続けて「明日から工場に入って盛り付けと掃除をしろ!」と怒鳴りました。Aさんはこれまで現場仕事の経験はありませんでした。一方的な配置転換です。これがAさんに対する社長の退職勧奨の始まりでした。
その後、社長は自らの勘違いに気が付いたのか、社労士も間に入れてAさんに対して別の「配置転換の理由」を探そうと、Aさんの仕事に難癖をつけ、何人かから事情聴取を行いましたが、誰からも証拠なる証言を引き出せませんでした。しかし社長は「Aが悪くないのはわかった。でもAには明日から一日中工場に入ってそれなりの給料でそれなりの仕事をしてもらう。」と、Aさんの行っていた業務は翌日から別の従業員に担当するよう指示し、無理やりに配置転換を強行しました。

 

20リットル塩素をタンクに投入「男女平等」「女だからできない、は許さない」
その後、Aさんは、それまでは男性が行っていた、井戸水を消毒する用の20Lの塩素(12%)をタンクに投入する作業をやるよう指示されました。その際、社長と上司Wは「男女平等」「女だから力がないからできないとは許さない」といったことを細身で小柄なAさんに向かって言いました。明らかなパワハラです。

また会社は、2~3名で行っていた弁当の盛り付け作業をAさんが1人でやるようにと指示し、周囲の調理師が手伝おうとすると、その調理師が社長から怒られました。
さらに記録簿の作成はパソコンを使わずに「手書きで書け」「事務所には来るな」等の嫌味を会議で全体の前で言われ、Aさんが抗議すると社長は「そんな意味ではない」などと弁解してごまかしました。このように社長のAさんに対する陰湿ないじめ、嫌がらせは日々エスカレートしていきました。Aさんの懲戒処分と昨年末の団体交渉に至る過程は次号に掲載します。

 

 配転命令権の範囲とその濫用について

「配転命令」とは、使用者が労働者の職務内容や勤務場所について長期間の変更をする命令を出すことで、根拠は労働契約にあるとされます。したがって使用者の配転命令権の範囲は、労働契約の内容によります。多くの場合、使用者側は就業規則等に基づき広汎な配転命令権を主張し、労働者側は労働契約において職種・勤務地限定の合意があったとして争うことになります。

当然、職種・勤務地限定の合意があるのにこれに反した配転命令を出すことは許されませんが、それだけでなく、配転命令権が認められる場合であっても、➀業務上の必要性がない場合や、②不当な動機・目的があったり、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせたりといった特段の事情のある場合にも、配転命令が権利濫用として許されない場合があります(判例)。Aさんの場合は、Aさんが質問をしたところ、社長が配転命令の必要性について「自分が決めたから」以上の説明ができなかったことから(また、自分から退職するよう追い詰める目的も疑われます)、権利濫用であることは明らかと思われます。

完全勝利! 凸版印刷の不当労働行為に救済命令下る

2017-07-26

都労委命令 凸版印刷はただちに団体交渉に応じろ

本日、凸版印刷の不当労働行為(団体交渉拒否)に対して、都労委が命令書を交付した。主文は以下の通りである

主  文

1 被申立人凸版印刷株式会社は、申立人日本労働評議会が、平成26年3月31日及び同年4月5日に申し入れた団体交渉について、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。

2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル

 (新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。

日本労働評議会 中央執行委員会 長谷川 清輝 殿

凸版印刷株式会社  代表取締役  金子 眞吾

当社が、貴組合が平成28年3月31日及び同年4月5日に申し入れた団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないことを留意します。

3 被申立人会社は前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。

凸版印刷は都労委命令に従い、直ちに団交に応じよ

凸版印刷はグループ企業を合わせれば5万人の従業員を抱える業界第1位の大企業である。2020年東京オリンピック・パラリンピックの協賛企業である。凸版印刷には労働組合があり、普通に団体交渉を行っているのである。その様な大企業が団交拒否という不当労働行為を行い、都労委から断罪される始末である。重ねて言うが、労働組合法を良く知らない零細企業が犯した誤りではないのである。

なぜ、凸版印刷は不当労働行為、それも団交拒否という恥ずかしい不法行為をしたのか。それは、凸版印刷が河本毅弁護士率いる番町総合法律事務所に組合対策を丸投げしたからである。河本弁護士は合同労組は労働組合ではないという「持論」を持っている。今回の命令書でもそのことは扱われており、命令書には次のように展開されている。

(被申立人の主張として)「労働組合法上の法適合組合というためには、使用者との関係において使用従属関係にある労働者が主体となっていなければならないところ、組合の構成員の中で会社との間には使用従属関係にある者は1名にすぎず、その他の構成員と会社との間には使用従属関係がないので、組合は労働組合法上の法適合組合ということはできないから、本件申立資格を有せず、本件は却下すべきである。」

(都労委の判断として)「組合自体が労働組合法上の労働者が主体となって構成されていれば、本件のように、当該使用者に雇用されている者が少数であったとしても、主体の点で労働組合法上の労働組合該当性が問題となることはない。したがって、会社の主張は、独自の見解というべく、採用することができない。」

河本弁護士らの「持論」は何回も何十回も労働委員会で「独自の見解であり採用できない」と否定され続けてきたであろう。経営法曹界の弁護士も合同労組は労働組合ではないと主張する者はいない。河本弁護士らの「持論」は中小企業経営者の狭隘な組合敵視の心情に合致しているので、組合をいたずらに警戒する経営者には頼りにされることもあるが、非常識な見解であることは変わらない。

長くなるので、今回はこの辺にするが、凸版印刷の不法行為は断じて許すわけにいかない。この都労委命令を真摯に受け止めることを強く望むものである。

 

都労委 凸版印刷命令7月26日に下る

2017-07-19

凸版印刷の団交拒否に鉄槌が下る

7月26日、都労委で労評が申立てている不当労働行為救済申立てに対する命令が出される。労評としては救済命令が出されると確信している。凸版印刷に団体交渉の申し入れを行って、はや1年と4か月、理由もなく団交拒否を続けてきた凸版印刷にどのような正義もない。番町綜合法律事務所の河本弁護士らと結託して、正当な組合活動を弾圧してきた凸版印刷はこの都労委命令を契機に、違法行為を行ってきたことの責任を問われることになるであろう。

凸版印刷の違法行為の責任を今後徹底して追及する

命令が確定した段階で、改めて報告するが、大企業である凸版印刷が団交拒否という最も犯してはいけない初歩的な段階での違法行為を行って平然とすることは許されない。労評はどのような上場企業であれ、名の通った企業でこれまで団交拒否をされた経験はない。これも番町綜合法律事務所の河本弁護士らが指南したことは想像に難くないところであるが、大企業である凸版印刷がこのような弁護士の手法に軽々と乗せられるとは零細企業並みのコンプライアンスである。

いずれにしても、この都労委命令を機に労評は全面的に凸版印刷の社会的責任を問う行動に起ち上がるであろう。

7月4日付でネギシ・マタハラ事件の上告棄却・上告不受理を決定。妊娠中の女性に対する解雇を認容する不当決定である!

2017-07-18

去る7月4日付で、最高裁は、ネギシ・マタハラ事件の上告を棄却しました。3月4日に「上告申立理由書」を提出してからわずか4カ月での決定でした。この決定は、妊娠中の女性労働者に対する解雇を容認する不当決定であり、均等法9条4項を有名無実化するものです。

 

均等法9条4項の存在意義はどこに?        

均等法9条4項「妊娠中・産後1年以内の解雇は「妊娠・出産等による解雇ではないことを事業主が証明しない限り無効となる」 が2006年新設された背景には、妊娠中の解雇が横行していたからです。妊娠しても解雇の心配をせず、女性が、安心して働き、子育てができる環境を作るための法的整備でした。
この法律の特徴は、ひとつには期間を定めて解雇を禁止していること。当該期間内の解雇を強く禁止しているということです。
これは労働基準法19条「業務上災害による休業期間とその後30日間もしくは産前産後休業期間とその後日間の解雇禁止」についても同じです。

もうひとつは、「解雇を無効とする法律効果が与えられているものを覆す立証が求められている。」つまり、労働契約法16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」の適用場面よりも一層高い立証が求められているということです。均等法9条4項は、違法な解雇が行われない「抑止力」として新設されたのです。
ところが、最高裁は、わずか4か月という速さで上告棄却を決定しました。
一審ですら、解雇には当たらないとした事案に対し、二審では、会社が従業員を総動員して作ったシナリオを鵜呑みにし、均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、形式的に上告人Aさんの解雇を有効とし、マタハラ解雇ではないという判決を出したのです。そして同じように最高裁も均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、それを追認したのです。このままでは、均等法9条4項が新設された意味がありません。
労評では、今回3月31日の最高裁上告報告集会を皮切りに、署名活動等の取り組みを行いましたが、これからという時点で、棄却されてしまいました。

 

司法の反動化を許さず、継続して妊娠中の女性労働者を守り、解雇禁止の法律を定着させよう!

しかし、労評はこのような司法の反動化を許すことなく、これからも継続して女性労働者が安心して働ける職場を目指し、職場で、街頭で運動を進めていきます。上告人Aさんも最高裁の決定があった後も、「自分の問題をきっかけに、マタハラについて考えてもらいたい」と運動を続けていく気持ちをしっかりと持っています。署名活動にご協力をいただいた方々、ありがとうございました。またこの問題に注目していただいた方々、これからも労評より発信を続けていきます。よろしくお願いします。

鹿島臨海産業のパワハラ問題 その2

2017-07-07

栄養士の資格と経験を活かすため入社

鹿島臨海産業株式会社に社員として勤務している主婦でもあるAさんは、二人の子供の子育てと両立し、大手通信会社の優秀な派遣社員として長年勤務していました。しかし「栄養士の資格と経験を仕事で活かしたい」と思い、約3年前にハローワークネット求人で鹿島臨海産業の「栄養士」の求人募集を見て、一大決心で思いっきって転職しましたが…

 

怒鳴りちらす社長、不衛生な環境、仕事の引継ぎもなく

しかし、入社してみるとそこには予想もしなかった衝撃的な光景が多々ありました。社長はよく大きな声で従業員を怒鳴り、叱責していました。時には新人社員が1,2時間立ったまま社長から説教されている姿も見かけました。いてしまう新人女子社員に向かって「わしはパワハラやが、泣くのはセクハラや」と怒鳴っていたそうです

そして食品を扱う工場であるにも関わらず、衛生環境も決して良い状態とは言えませんでした。一部の従業員は仕事に追われ、エアシャワーを通らず、裏口から工場に入ることが黙認されていました。また常に求人募集をしてるため、人の出入りが多く、気付くと知らない人が工場や社員食堂で働いていたりします。本来、食品を扱う作業者は保菌検査(検便)が義務づけられていますが、面接の時点で「すぐに来てほしい。」と言われ、翌日から仕事に入る人もいました。

そしてAさんの前任の栄養士はAさんの入社と入れ替わりで退職してしまい、仕事の引継ぎはほとんどありませんでした。また会社にはタイムカードもなく、不払い残業があること、新しく人が入っても社長のパワハラで次々人が辞めていくなどの衝撃の事実を入社して間もなく同僚から聞かされて知りました。

 

仕事内容は「わしも何もわからず一人で行ったんや!」

そしてAさんは「栄養士」として入社したにも関わらず、いわゆる「栄養の指導に従事する」ような栄養士らしい仕事をすることはありませんでした。お弁当や社員食堂、社員寮の一日3000食前後もある献立作成などの一般的な栄養士の業務は、栄養士や調理師の資格のない社長と社長の奥さんが担っていました。そして社長は「栄養士は献立など立てる必要はない。管理表(献立表)も見なくて良い。栄養士は渉外活動だけやっていればいい」と言い、栄養士は食材の発注業務などの渉外担当を任されていました。しかも客先を回る頻度も入社時の「週2箇所」が、入社1か月後位には「一日2箇所」に変更されました。その上、会社と客先との関係性や、具体的に何をしに行くのかなどの業務内容について何も教えてもらえませんでした。

次々と人が入れ替わるため、周囲に聞いても誰もやり方を知らず、社長に聞くよう言われました。しかし社長に聞いても「わしも何もわからず一人で行ったんや!」などと言われるのみで、暗闇の中を手探りで仕事をする日々が続きました。他にも客先の宴会、イベントの見積もりなど未経験の仕事を色々任されました。顧客から「担当者がすぐ辞めてしまい引継ぎもしないで代わるので、毎年同じことを説明しなければならない」と批判、指摘を受けるほどでした。

そして社長は何度もAさんに「管理表(献立表)は見る必要ない」と言い、別の業務をやらせていたにも関わらず、数か月後には、突然「管理表(献立表)の見方もわからないのか!」とAさんを叱責しました。

 

新しく入ってもどんどん辞める労働者

そのような社長の態度に付いていける人がそう多くいるわけもなく、Aさんが入社した翌年には栄養士、管理栄養士を含む8名が新規に採用されましたが、そのうち、直接社長と関わりのある5名は、1年以内に退職していきました。中には入社して1日~1週間程度で退職していく人もいました。そして、ついに社長のパワハラの矛先がAさんに向かってきたのです。Aさんの受けた退職勧奨(パワハラ)については次号に掲載します。

 

※パワハラとは:「パワハラ」とは、「パワーハラスメント」の略で厚生労働省「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html)パワハラ行為を行った上司は、不法行為責任(民法709条)を負います。また、会社ぐるみでやっていたり、パワハラ上司への指導をきちんとしていなかった場合には、会社自体が法的責任を負います。

 

 

アート引越センターの違法行為の数々

2017-07-01

労評残業代を請求する会で団体交渉

クロネコヤマトの残業代未払い問題を始め、運輸業界の不法行為が明るみに出ていますが、引越し業界で2位と言われるアート引越センター(アートコーポレーション(株)本社大阪)では、驚くべき違法・脱法行為が行われてきました。労評は横浜市のある支店を退職した労働者達が加盟して、会社に対して残業代請求の交渉を行っています。その交渉は3回目になろうとしていますが、明らかになった数々の違法・脱法行為の紹介をします。

1.事故の賠償金をあらかじめ天引きしていた

アート引越センター(以下、アートと言います)は「引越事故賠償制度」を作り、毎月数万円の賠償金を賃金から天引きしていました。ご存じのように賃金から天引きをして良いものは税金や社会保険料などに限られており、本人との書面での合意を交わした場合のみ天引き可能です。アートは労働者から同意書も取らずに勝手に差し引いていたので、返還しなければなりません。アートはこれを認めて組合員に対して25万~38万の返還をすると述べています。しかし、これは2年間の天引きした分であり、アートの行ってきた不法行為は不当利得にあたるので、2年間に限定されるものではなく、10年間の請求が可能です。

アートは天引きした賠償金を返還する代わりに、組合員に対して事故賠償請求をしてきました。その請求金額はアートが返還するとした金額をはるかに上回る金額でした。アートの請求根拠は引越事故賠償制度にあると主張しますが、この制度自体、労評は無効と考えています。引越し業務に従事する労働者は顧客の家具や調度品を傷つけないように運搬しますが、スタッフには慣れないアルバイトや派遣労働者もおり、それらの労働者がミスを犯した場合も社員がその賠償責任を負うシステムになっています。一定の比率で顧客への損害賠償が生じるのが引越し業界の特徴であり、経営側はそのリスクを前提に労働者を雇用し、収益を上げるわけですから、労働者に重大な過失責任がある場合を除いて、労働者に損害賠償を請求することは非常識なことだと考えます。

2.労働時間を操作していたことを認める

組合員達はアート引越センターに勤務していた頃、長時間働いた割には残業代が少ないことを感じていました。アートではタイムカードではなく、電子式の出退勤の打刻をして、会社が集中管理しています。会社は組合員らの労働時間を操作したことを認めました。残業時間が多くならないように、主に退社時間を操作し、残業時間を削っていたのです。会社の説明では削った残業代は別の名目の手当で支払っていると述べていますが、それが正確な残業時間分かどうかは今のところ確認のしようがありません。

3.交通費を支払っていなかった

組合員らは誰も交通費を支給されていませんでした。勿論就業規則には交通費の支給が明記されています。団体交渉の席で、会社は請求がなかったから支給していなかったと述べました。会社は交通費を支給することを組合員らに告げなかったので、もらえることを知らなかったのです。アートのような大企業で交通費の支給をしていないという事実は驚くべきことです。

4.携帯電話代も自己負担

引越し業務は作業中も顧客や会社と連絡を頻繁にします。アートは社用の携帯電話を準備せず、組合員らは自分の携帯で仕事に使っているか、仕事用に別の携帯電話を購入して使用していました。当然にも会社が負担すべき費用です。これも大企業とは思えない杜撰さです。

5.組合に加入した覚えがないのに組合費を天引きされていた

組合員らは組合費の名目で毎月1000円天引きされていました。しかし、アートに労働組合があることも知らず、組合に加入した覚えもありません。アートの労働組合など幽霊団体のようなものです。これも会社にチェックオフ協定を提出することを要求しています。もし偽造したチェックオフ協定の下で組合員らの賃金から天引きしたのであれば悪質な不法行為です。

以上のように、業界第2位といわれるアート引越センターはその中身は零細企業のような有様です。すでに大阪本社には労基署の調査と指導が入っているようで、一面的に残業の規制を始めているので、残業で生活している労働者は、これでは食っていけないと次々と退職しています。

労評残業代請求する会は社内の労働者に働きかけ、現有の労働者による労働組合建設を目指します。会社の中から改革の火の手をあげていき、会社の制度、体質を改革していきたいと思います。

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