アート引越センターの違法行為の数々

2017-07-01

労評残業代を請求する会で団体交渉

クロネコヤマトの残業代未払い問題を始め、運輸業界の不法行為が明るみに出ていますが、引越し業界で2位と言われるアート引越センター(アートコーポレーション(株)本社大阪)では、驚くべき違法・脱法行為が行われてきました。労評は横浜市のある支店を退職した労働者達が加盟して、会社に対して残業代請求の交渉を行っています。その交渉は3回目になろうとしていますが、明らかになった数々の違法・脱法行為の紹介をします。

1.事故の賠償金をあらかじめ天引きしていた

アート引越センター(以下、アートと言います)は「引越事故賠償制度」を作り、毎月数万円の賠償金を賃金から天引きしていました。ご存じのように賃金から天引きをして良いものは税金や社会保険料などに限られており、本人との書面での合意を交わした場合のみ天引き可能です。アートは労働者から同意書も取らずに勝手に差し引いていたので、返還しなければなりません。アートはこれを認めて組合員に対して25万~38万の返還をすると述べています。しかし、これは2年間の天引きした分であり、アートの行ってきた不法行為は不当利得にあたるので、2年間に限定されるものではなく、10年間の請求が可能です。

アートは天引きした賠償金を返還する代わりに、組合員に対して事故賠償請求をしてきました。その請求金額はアートが返還するとした金額をはるかに上回る金額でした。アートの請求根拠は引越事故賠償制度にあると主張しますが、この制度自体、労評は無効と考えています。引越し業務に従事する労働者は顧客の家具や調度品を傷つけないように運搬しますが、スタッフには慣れないアルバイトや派遣労働者もおり、それらの労働者がミスを犯した場合も社員がその賠償責任を負うシステムになっています。一定の比率で顧客への損害賠償が生じるのが引越し業界の特徴であり、経営側はそのリスクを前提に労働者を雇用し、収益を上げるわけですから、労働者に重大な過失責任がある場合を除いて、労働者に損害賠償を請求することは非常識なことだと考えます。

2.労働時間を操作していたことを認める

組合員達はアート引越センターに勤務していた頃、長時間働いた割には残業代が少ないことを感じていました。アートではタイムカードではなく、電子式の出退勤の打刻をして、会社が集中管理しています。会社は組合員らの労働時間を操作したことを認めました。残業時間が多くならないように、主に退社時間を操作し、残業時間を削っていたのです。会社の説明では削った残業代は別の名目の手当で支払っていると述べていますが、それが正確な残業時間分かどうかは今のところ確認のしようがありません。

3.交通費を支払っていなかった

組合員らは誰も交通費を支給されていませんでした。勿論就業規則には交通費の支給が明記されています。団体交渉の席で、会社は請求がなかったから支給していなかったと述べました。会社は交通費を支給することを組合員らに告げなかったので、もらえることを知らなかったのです。アートのような大企業で交通費の支給をしていないという事実は驚くべきことです。

4.携帯電話代も自己負担

引越し業務は作業中も顧客や会社と連絡を頻繁にします。アートは社用の携帯電話を準備せず、組合員らは自分の携帯で仕事に使っているか、仕事用に別の携帯電話を購入して使用していました。当然にも会社が負担すべき費用です。これも大企業とは思えない杜撰さです。

5.組合に加入した覚えがないのに組合費を天引きされていた

組合員らは組合費の名目で毎月1000円天引きされていました。しかし、アートに労働組合があることも知らず、組合に加入した覚えもありません。アートの労働組合など幽霊団体のようなものです。これも会社にチェックオフ協定を提出することを要求しています。もし偽造したチェックオフ協定の下で組合員らの賃金から天引きしたのであれば悪質な不法行為です。

以上のように、業界第2位といわれるアート引越センターはその中身は零細企業のような有様です。すでに大阪本社には労基署の調査と指導が入っているようで、一面的に残業の規制を始めているので、残業で生活している労働者は、これでは食っていけないと次々と退職しています。

労評残業代請求する会は社内の労働者に働きかけ、現有の労働者による労働組合建設を目指します。会社の中から改革の火の手をあげていき、会社の制度、体質を改革していきたいと思います。

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