明治大学准教授二重処分事件で不当判決

2017-10-26

大学教員の権利擁護のため、控訴審を闘う

明治大学准教授二重処分事件原告代理人弁護士 指宿 昭一

 2017年9月29日、明治大学情報コミュニケーション学部堀口悦子准教授が、教授会の権限を越えた二重処分について大学に対して損害賠償を請求した事件で、不当な全面敗訴判決を受けました。原告は、事件後に、労評に加入し、労評の支援を受けて裁判闘争を闘っている方です。

事件の概要

この事件は、大学教員の労働者としての権利が教授会自治との関係でどこまで制限され、守られるのかを争点とするものです。原告は、ウィキペディアを論文に引用したという疑いで、本人に明確な記憶はないものの、大学から1か月の停職処分を受け、これを受け入れました。ところが、学部教授会は、この処分に先立ち、①2年間、学部の組織的な研究活動参加と対外的活動を制限し、更に、②暫定的措置として次年度の授業担当を停止しました(①+②=本件措置1)。大学の処分後、教授会の決議なく、この措置の「暫定的」が外されました。更に、この対外活動制限に違反したことを理由に、③「②」の制限が無期限に行われることになり、また、④ゼミ・演習科目担当が無期限に停止されました(③+④=本件措置2)。

原告は、本件措置1及び本件措置2は、原告の教授研究の自由を違法に侵害したなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めていました。判決は、 大学の自治を根拠に、学部教授会の広範な裁量権を認め、措置1及び2を適法であると判断しました。

判決の不当性

判決は、「暫定的措置」だったはずの②の措置が、教授会の決議すらないまま措置が継続されたことについて、「懲戒処分が行われた場合には、上記措置が継続することが当然の前提となっていたと認められ」るとし(44頁)、また、本件措置2の判断の前提として、学外のイベントで講師を行うことは、学部教授会の許可を必要とする「兼職」に該当するとして、実際には機能していなかった兼職許可制規定の「兼職」は「同規定が明大職員としての立場と利益相反となるような場合に限定されているとか、有名無実化していると認めることもできない」(54頁)と理由なしで認定しています。二重処分については、「本件懲戒処分とは目的、法的性質を異にするものであるから、二重処分ということはできない」(46頁)としました。判決は、本件措置1と2を適法とするという結論を導くために、被告の主張に沿った不合理な事実認定をしています。

この判決では、教授会の決定は絶対的で、教員に対するどのような不利益処分も有効ということになりかねません。「学部教授会の裁量権も絶対無制約なものではなく」(37頁)という記載はありますが、これはリップサービスにすぎません。残念ながら、判決において、学部教授会自治と大学教員の権利を比較衡量するという視点はなく、学部教授会の強大な権限を前提にしています。

控訴審を闘う

原告は、判決を不服として控訴しました。控訴審では、教員の権利との関係で、学部教授会自治が制限される場合があることを強調したいと思います。そのためには、原告(控訴人)が病気や家族の介護を抱えていた生身の人間であり、間違いは犯したかもしれないが、真摯に反省して対応していたのに、学部教授会によるあまりにも過酷な処分(本件措置1及び本件措置2)がなされたことは不相当であるということをアピールしたいと思います。

原告が本件訴訟を提訴することを決めるとき、原告は、「私は誤ったことをしたかもしれないが、そのことを隠すつもりはない。裁判を通じて真実を明らかしていく姿を学生にも見せていくことが、教師としての努めだと思う。」という趣旨のことを述べていました。誤りがあったとしても、それを踏まえて最善を尽くしていくのが労働者としてのあるべき姿であり、教育労働者である大学教員の場合もそれは変わりません。これに対して、使用者としての大学が、適正な手続きも経ないで、過酷に過ぎる不必要な不利益措置を大学教員に課すことは許されることではありません。確かに、大学の自治は尊重されるべきものですが、ドグマに陥り、教員の権利を不当に侵害するものであってはなりません。

原告と共に、控訴審を全力で闘っていきたいと考えておりますので、引き続き、支援をお願いします。

 

以上の文章は労評から指宿弁護士に依頼して、書いていただいたものです。大学の非民主的・専制的体質と闘う堀口准教授の控訴審にぜひ支援をお願いします。

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