12月, 2018年

労評交運労トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告②

2018-12-28

裁判報告第二弾

賃金対象額が集配労働者の努力や工夫で増減しないことが暴かれると、被告会社は能率手当が集配労働者の努力や工夫で増減すると言い換えてきた。

「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」の計算式の時間外手当Aに当たる残業時間を短縮して、少ない労働時間で賃金対象額を実現すれば能率手当が増額するというのである。

 

以下は、この能率手当を集荷労働者の努力や工夫で増やせるのかということが争点になった10月15日の裁判の証人尋問の報告です。

 

10月15日の裁判における被告会社側証人の証言

能率手当を増額させる方法として、会社側証人は、以下証言した。

 

 

こうすれば、1日当たり15分うまくいくと30分労働時間を短縮できる。

時間短縮を1か月間続けることによって36協定の上限時間に余裕ができる。

そうすれば「締(シメ)の間際に」このような余裕のある人に業務指示が出せるので、その人は業務量(賃金対象額)が増える。

 

皆さん、どう思いますか?

被告会社の証言について、原告側の弁護士から1日当たり10分~30分労働時間を短縮できるという証言に対し、何を根拠に割り出したのかという問いに対し、「感覚です」としてしか答えられなかった。

最大積載量をはるかに越える配達荷物がある場合、荷台スペース一杯に上手に積んでも1回で配達することはできない。

②の運転経路は、配達においては配達順路を考えて荷積みをするなど、誰もがやっていることである。

③の「荷物をもってちょっと走ってみる」などは、宅配業者ではあるまい。

重い荷物をもってちょっと走ってみることなどできない。そればかりか、広島支店において構内を走ってはならないと注意書きをしてある。

それは労災事故や荷物の破損事故の原因になるからである。

しかし、集配先では荷物をもって「ちょっと走ってみる」ようにしろとでも言うのだろうか。

大阪府労働局(労働基準監督署の上の官庁)は、トラック運転手の労災事故は運転中ではなく、荷主先の荷降ろし作業中に最も多く、これを重大問題視し、トラック運送業者と荷主先に指導監督に入っているほどである。

荷物をもってちょっと走ってみるなどの作業指示を会社がしていることが分かったなら、労働基準監督署から大目玉を喰らい、是正勧告の指導を受けるだろう。

 

労働時間の短縮は、会社の経営努力がなければでき得ない

われわれ原告は、裁判で残業時間の短縮は「無駄を無くすこと」であり、その経営努力を被告会社がしなければならないと主張してきた。毎日毎日待機時間によってどれくらい時間のロスが生まれているのか。

広島支店では、使用可能なフォークリフトが少なく、朝フォークリフトの奪い合いになることでロスも起こる。

上げればキリがないほどの無駄、ロスがあるが、これらは集配労働者の努力や工夫で解決できるものではない。

しかし、会社は、残業代を支払っていないから、このようなロスで残業時間が多くなっても、なんらふところが痛まないからロスをなくすための経営努力をしようとしない。

 

今回の裁判報告はここまでとして、続きは次回、報告します。

 

労働委員会-会社の不当労働行為についての報告

11月19日、東京都労働委員会で会社の不当労働行為の証人尋問が行なわれました。

そこで改めて明らかになったことは、労評交運労トール労組の部分的残業拒否闘争(ストライキ)に対し、会社は対抗措置として支店長や主任を動員して、労評員のみに、集荷残業をさせなかったということです。

会社は、このことを労働委員会ではっきりと認める証言をしました。

これは不当労働行為を会社が「しました」と証言したことと同じことです。

会社は、対抗措置について集荷残業をえり好みすることを許していたら労働秩序を保てなくなると主張をしてきました。

労評交運労トール広島分会は、争議行為として残業拒否を行なったのです。

個人が集荷残業をえり好みして残業拒否をするのとは全く違います。

労評の弁護士から会社証人に対し、

組合の争議行為としての残業拒否と、組合の争議行為と無関係に個人が集荷残業をえり好みして残業拒否するのとでは全く違う。後者は業務命令違反で会社が処分すればいいではないか。出来ないですか

旨問い質すと、会社側証人は何も言えませんでした。

トールの多数派労組から、10月25日に要望書が出されたから、対抗措置を行なった(不当労働行為をした)というのは、本末転倒も甚だしく全く馬鹿げています。

労働委員会の報告も連続して報告します。

 

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大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~

労評交運労トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告①

2018-12-21

 裁判の争点-能率手当について-

皆さんもご存知のようにトールで働く集配職、路線職、整備職の賃金項目の一つである能率手当は「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」という計算式で算出されます。

したがって、

時間外手当A+能率手当(賃金対象額-時間外手当A)
=時間外手当A-時間外手当A+賃金対象額
=賃金対象額

となります。

このように

「残業代である時間外手当Aを差し引いて能率手当を計算し、その上で時間外手当Aを支払っても、実態において残業代を支払っているとは言えない」

ということがわれわれ原告の主張です。

 被告会社の主張-能率手当は、成果主義賃金であるー

このわれわれ原告の主張に対し、被告会社は「能率手当は、成果主義賃金である。成果主義賃金は、より短時間の労働によってより大きな成果を実現した者により多くの賃金を分配するという制度」であるから、残業時間の残業代を賃金対象額から差し引いても合法であり、多数派組合であるトール労組とも合意していると会社は主張しています。

能率手当は「成果主義賃金」である?こんな説明を会社から聞いたことはありますか。

成果とは、つまり賃金対象額のことです。努力と工夫をして残業をせずに、あるいは少ない残業でより多くの成果(賃金対象額)を実現すれば、多額の賃金を得られるぞ。
努力と工夫が足りずに残業をしても賃金対象額から残業代を差し引くからな!漫然と仕事をして残業代稼ぎできると思ったら大間違いだ!

平易に言えば、以上が成果主義賃金についての会社の主張の核心です。能率手当について、このように入社時に説明すれば、誰もトールに就職しない。
事実、正社員になった途端に辞めていく集配労働者が多いのは、騙されたとの思いがあるからである。
正社員になったら「5万円も賃金が下がったから辞める」という話を良く聞きます。
会社の裁判での主張に耳を傾けてみよう。

「残業時間が増えても、実際に支給される賃金に大きな違いが生じないとの点については、残業時間が増えても単に漫然と残業しているだけで成果が向上しなければ指摘のような結果になることは事実である」、「それは成果主義賃金の性格に由来する当然の結果と言う他ない」。
能率手当は「漫然と労働時間を増やしても賃金の増額には必ず結び付かず、逆に長時間労働を抑制して短時間(残業をせずに)で能率を向上させることによって多額の賃金を得ることができるのだと従業員に意識付けしようとするものである」(会社答弁書より抜粋)。

集配労働者なら、この会社の主張がどれほど馬鹿げた、そして集配労働者を見下した主張であるかは分かると思います。

 

会社の主張は、集配労働者を見下した主張である

残業時間が増えるほどの仕事をさせているのは、会社であり、集配労働者が漫然と労働時間を増やしているのはない。
集配労働者は、懸命にその仕事を消化するために残業をしており、漫然(チンタラ)と残業をしているのではない。

それに対し、「漫然(チンタラ)と残業をしているから残業時間が増えても賃金がさほど増えないのだ」というのは、言いがかりではないか。
1時間当たり、300円、500円しかならない集荷賃金対象額(成果)でも会社の業務命令のもとで集荷残業をして顧客の荷物を集荷している。
これに対し、残業をしても成果(賃金対象額)が少ないのは、漫然と残業をしているからだ言われれば、この会社はもうダメだと辞めていくのは当然です。

 

能率手当は、成果主義賃金ではない

裁判において、会社は、集配労働者の努力と工夫によって、賃金対象額は増減すると主張し、これを前提に「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」の計算式は、
残業をせずにより多くの賃金対象額を実現すれば、多額の賃金、つまり能率手当を得られると主張してきました。

本当にそうなのか?
集配員の努力や工夫で賃金対象額は増減するのか、しないのかは、まず裁判で争われた点です。
われわれ原告は、集配労働者の努力や工夫で賃金対象額は増減するという主張を前提にした会社の主張は、実態からかけ離れた空理空論であり、偽りの主張であることを暴き、完璧に会社主張を論破しました。
この点については、次回、報告したいと思います。

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大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~

12・24 日本郵便に対する「65歳を超える労働者の雇用を求める」団体交渉と組合活動についての報告会を開催します

2018-12-14

【日時】   12月24日(月)午後1時~3時 

【場所】   江東区亀戸文化センター JR総武線「亀戸駅」下車1分

【議事予定】

     当該組合員 丹羽良子氏挨拶

     日本労働評議会本部から団体交渉報告

     顧問弁護士 指宿 昭一氏報告

     質疑応答と意見交換

 

2007年の郵政民営化を契機に、2011年、日本郵便は突然、65才を越えた非正規労働者1万3千人を解雇しました。

この不当解雇に対して9名の原告が7年の歳月を費やして最高裁まで争ったのですが、本年9月14日に最高裁で棄却されました。

しかし、最高裁判決に納得のいかない原告の一人丹羽良子氏が、闘い続けることを決意し、日本労働評議会に加盟して団体交渉を行いました。

日本郵便においては2011年以前は非正規労働者には定年制はなく、健康面に問題がなければ80歳代でも勤務していた労使慣行があったにも関わらず、民営化を境に突然解雇(雇止め)された1万3千人の労働者が路頭に迷うと同時に、全国の郵便局では極端な人手不足に陥るという事態を招きました。

この人手不足により、土曜日の郵便配達を行わないなどの検討も始められており、さらに、首都圏では約1000人の65歳以上の非正規労働者の雇用をするという場当たり的対処を行っています。

このことから考えて、非正規労働者を65歳で解雇(雇止め)することの合理性はないと言うべきであり、労働組合が最高裁判決に拘束されることなく、団体交渉で労働者の要求を掲げて交渉することは必要なことだと思います。

安倍政権が70歳までの雇用を検討し始め、民間企業でも65歳以降の雇用がかなり普及している中にあって、日本郵便の労務政策は不合理であり、改めさせるべきであります。

 

本報告会では、12月12日に行われた団体交渉の報告を中心に、今後の日本郵便の65歳以上の労働者雇用を求める運動をどのように波及させていくのかを、皆さんと話し合いたいと思います。ぜひ、ご参加いただき、ご意見をいただきたいと思います。

 

【連絡先】
 日本労働評議会 
 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3丁目13番3号 高田馬場ファミリービル404
 電話03-3371-0589、ファックス03-6908-9194

日本郵便と「定年制雇止め問題」について団体交渉を開始します。

2018-12-10

この度、日本郵便「65歳定年訴訟」の元原告が、日本労働評議会(労評)に加入し、再雇用と慰謝料の支払いを求めて、日本郵便に対して団体交渉を申し入れました。

12月11日に第1回団体交渉が、で行われます。(※団交は非公開です)

 

最高裁の不当な敗訴判決を乗り越えて闘いは続きます。

ブログやSNSなどを通じて、随時情報を発信していきます。

 

【参考】

日本郵便「65歳定年訴訟」(最高裁判決)

2018-09-18 11:24:43 | 労働問題

最高裁平成30年9月14日第2小法廷判決

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87983

 

<判示事項>

1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨を定める就業規則が労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるとされた事例

2 郵政民営化法に基づき設立されて日本郵政公社の業務等を承継した株式会社がその設立時に定めた就業規則により日本郵政公社当時の労働条件を変更したものとはいえないとされた事例

3 期間雇用社員に係る有期労働契約が雇止めの時点において実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできないとされた事例

 

<日経新聞記事>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35384500U8A910C1CC1000/

【東京都本】アート引越センター・世田谷支店で会社との交渉が行われています。

2018-12-07

東京・世田谷支店で現役労働者が公然化を会社に通告

労評では昨年、神奈川でアート引越センターの元労働者から寄せられた労働相談をきっかけに、退職労働者が中心となって、資本との交渉や裁判闘争を闘ってきました。

組合からの追及により「引越し事故賠償金制度廃止」などの成果を上げてきた一方で、今もなお、過酷な労働環境の下で働く現役労働者が立ち上がって会社の中で改革に取り組むことが出来ていませんでした。

各支店への情宣活動を通じて、東京の世田谷支店の現役労働者Aさんが連絡を取ってきたことをきっかけに公然化に向けた準備を重ね、7月17日、ついに会社に対して公然化を通告しました。

公然化から少し時間が空いていますが、まとめて書いていきたいと思います。

 

正規、非正規の理不尽な格差と搾取の実態

Aさんが組合加盟、公然化に立ち上がるきっかけは、アートでの理不尽な正規、非正規格差の問題でした。

Aさん自身は通算で30年近くアートで常勤アルバイト(通称:契約社員)として勤務してきましたが、時給は1,000円。数年前の賃金改定で、賃金の切り下げがあっても、昇給はありません。

 

直近の契約時に、見かねた支店長が職権で20円昇給しようとし本社に打診したところ、門前払いをくらい、結局その年も昇給はありませんでした。

 

格差は時給だけではありません。

常勤アルバイトには正社員には当然与えられる交通費も、地域手当もありません。

もちろん一時金の支給もありません。

(※交通費は、1回目の団交後に支給されるようになりました。)

 

ベテランのAさんは現場に出れば、リーダーとしてチームを率いて会社の顔として仕事をしているのにも関わらず、待遇は大きな差を付けられているのが実態です。

さらに言えば、短期アルバイトとして募集しているネット求人では、「時給1,100円+交通費支給」と掲載されています。

長年働いている労働者にとってみれば、なんとも理不尽な扱いをされているということです。

 

Aさんは、誰も立ち上がらないのなら、若い労働者のためにも自分がまず先に会社と闘おうと決意を固めました。

 

会社との団体交渉を開始しています。

 公然化と同時に団体交渉を申し入れ、8月6日に第1回、11月12日に第2回団体交渉が行われています。

 

【第1回団交の状況】

団交の主な争点は、「正規雇用と非正規雇用の理不尽な待遇格差の是正」についてです。

世田谷支店で公然化したAさんは常勤アルバイト(社内では契約社員)で20年以上アートに勤務してきましたが、時給は1,000円。

そのほかにも正社員であればもらえる様々な手当がついていない状態です。もちろん、仕事上では差などなく、ベテランのAさんは現場のリーダーとして日々正社員と同等の仕事をしています。

今回の団交では組合側から、このような不合理な現状を訴え、会社に回答を求めました。

会社側からは、中間管理職クラスが参加してきましたが、「自分としても時給があがってもいいのではないか」と本音を漏らしつつも、会社として、時給UP、手当のすぐに支給するという回答は避けました。

 

【第2回団交の状況】

2回目も争点は、①正社員と常勤アルバイトの待遇格差、②A組合員の昇給問題の大きく2点について継続した交渉を行いました。

1点目について、会社は、「最終的には、常勤アルバイトも社員を目指してもらいたいと思っているので、常勤アルバイトの待遇は変えない」と回答しましたが、これは話題をすり替えです。正社員化の手続きや要件について追及すると、

支店長は「仕事のやる気と売り上げの数字を見る」といい、

ブロック長は「数字はあまり気にしない」といい、

本社の担当は「支店が決めるので分からないが、本社で否決されることもある。理由はわからない」などと、曖昧で無責任な回答しか述べませんでした。

現実には、常勤アルバイトから正社員になる意思表示をしたにもかかわらず、本社で否決された例も報告されています。

本人も否決の明確な理由が伝えられず、結局愛想を尽かして退職しました。

 

2点目は、時給1,000円から上がらないという問題です。

11月に新たな更新時期を迎えましたが、今回も1,000円の提示だったため、契約書へのサインを保留し、組合との交渉で金額を決定することになりました。

具体的な交渉は、12月の団交で行われますが、アートの労働者にとっては、これまで会社の言い値で時給を決められ、上がらない理由も切り下げられる理由もはっきりしないまま押し付けられていたところから、組合を通じて、会社と対等に交渉するテーブルに載せることが出来たのは意味のあることだと思います。

 

健全に仕事ができる環境を作ろう!

2020年には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を禁止する働き方改革関連法案が施行します。

アートの現状はまさに不合理であり、「正社員になればいいじゃないか」という無責任な回答は許せません。

組合は、引き続きこれらの点を追求していきます。

次回の団交は12月14日に開催されます。追ってまた内容を報告します。

 

アート世田谷を皮切りに、今回立ち上がった労働者だけの問題だけでなく、アート全体を改革するための取り組みとして、運動の輪を広げていくようにしていかなければならないと思います。

 

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