クリーニング業界の労働問題とは? ②-「名ばかりオーナー店長」の実態が明らかに!-

2019-07-12

以前にもブログで報告をしたように、労評ステージコーポレーションオーナー店長分会は、今年(2019年)1月に結成・公然化・団交申入れをしました。

会社との交渉は現在も継続中、分会の取組みは後日改めてブログでも報告します。

今回は、ステージ社を例にクリーニング店のオーナーという存在がどのような矛盾の中にいるか、簡単に説明します。

ステージ社のオーナー制度

①年中無休、休憩時間も取れない

正月三が日を除き店舗は年中無休とされ、また、1日11時間の営業時間中、休憩を取るために一時閉店をすることも許されないこととされています。

 

②実質最低賃金額以下の報酬

オーナーの収入は手数料と呼ばれ、店の売り上げに一定の料率を掛けて計算されます(なお手取り額はここから販促費・保険料名目で毎月1万円が控除された額になります)が、1年の収入が一定額(年間最低保証額)に達しない場合は、その額が填補されることになっています。

売上額はほとんど立地条件で決まり、ごく一部の店舗を除き、年間最低保証額がそのままオーナーの年収になります。

この額は、全営業時間を完全ワンオペで運営した場合に、最低賃金額で賃金を支払った場合にかかる人件費とほとんど変わらないものです。

しかし、年中無休営業を全てオーナー一人で回すのは無理ですから、オーナーは自分でパートを雇い、その賃金は手数料から出さなければなりません。

しかも、土日祝日や繁忙期に全てワンオペで店を回すのは不可能なので、パートを雇う時間はさらに増えます。

すると結局、オーナーのもとに残る収入は、実質的に最低賃金以下で働いているのと同じ程度にしかならないのです。

①の点とあわさって、オーナー店の受付は休憩なしの長時間労働を強いられます。

トイレに行くこともままならず、食事は、客の切れ目を見計らって慌てて流し込むようなものになります。

忙しい日に食事を取り損ねることも珍しくありません。

ただでさえこのような実態なのに、会社は年間最低保証額の填補すらしばしば怠り、しかも年間最低保証額のさらなる切り下げを一方的に通告してきました。

 

③保証金による契約期間中の束縛

このように、年中無休営業を強いられていることと手数料が低額に抑えられていることとが相まって、オーナーは長時間・無休憩・低報酬の三拍子そろった劣悪な条件のもと働かなければなりません。

体調を崩す人も多いです。しかし、契約期間(3年とされています)中にオーナーをやめると、契約締結時に差し入れさせられる保証金50万円が会社に没収される契約になっています。

このため、オーナーは簡単に辞めることができません。

 

④セールの問題

会社は年4回20パーセント引きセールを行いますが、この間、オーナーは殺到する客をさばく負担が増大する(仕事が忙しくなるだけでなく、パートを雇う経済的負担も増える)のに、それに見合った収入増を得られません。

当然のように値引き分はオーナーも負担させられるからです。

経営上、セールは必要だと会社は言いますが、オーナーは経営主体としてセール期間ややり方、タイミングなどの決定に全く関与できないのに、「個人事業主」として負担だけは負わされることになり、不満は募ります。使途不明の「販促費」が毎月の手数料から天引きされていることも、その不満に拍車を掛けます。

 

⑤クレーム対応の問題

クリーニングはクレーム産業とも呼ばれるほど、顧客の苦情に悩まされる業態です。

ステージ社では、しばしばクレーム対応がオーナーに丸投げされていました。

しかも低価格低品質、事故・不良・納品遅れの頻発する状態が慢性化していたため、クレーム対応の負担は過大なものになります。

さらに、会社は何かと理由を付けて一方的にオーナーに責任を転嫁し、損害賠償まで押し付けていました。

しかし、複数の店舗から集荷して工場で一括して洗う取次店システムにおいて、店舗に損害賠償まで含むクレーム対応の全てを負担させることは本来おかしなことです。

 

オーナー制度の本質

以上を見ると、結局、クリーニング業におけるオーナー制度というものの本質が分かります。

オーナーとは名ばかりで、経営者としての実質はほぼゼロ、実態を見れば直接雇用の労働者と何も変わりません。

そうでありながら、契約上、形式的にオーナーを個人事業主とすることで、従業員の労務管理や店舗管理、顧客対応といった事業の面倒な部分を「オーナー」にアウトソーシングでき、しかも労基法の適用を逃れて搾取を強化できます。

会社から見ればいいことづくめ、オーナーにしてみれば地獄そのものです。

 

店舗労働者に負担を押し付けつつ搾取を強化することによって極端な低価格モデルを成立させ、競争に勝つために編み出されたのがオーナー制度と言っていいでしょう。

90年代にこのシステムを発明したのが、ステージ社の関連企業である、千葉県の(株)ロイヤルクリーニングセンターだと言われています。

そして今、このオーナー制度が全国的に蔓延しつつあり、労評も複数件、相談を受けています。

 

労評はクリーニング業界からの労働相談に対応します!

今回は主にステージ社の「名ばかりオーナー店長」の問題をまとめました。

労評は、オーナーをはじめ、クリーニング店の店舗、工場、配送、事務などの様々な相談に対応してきました。

自分の会社に少しでも疑問を感じたら、もう我慢できないと思ったら、いつでもご相談ください。

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