ロイヤルリムジン第5回団体交渉報告

2020-05-23

12日、午後2時からロイヤルリムジンの第5回団体交渉が行われました。

前回までの団交で、金子社長はのらりくらいと言い訳をし、自分の言い分を一方的に話すだけの対応を繰り返してきました。

5回目の団交では、社長の言い分があるなら、法的根拠を明確に示して、まずはきちんと議論のテーブルに乗って話し合うように迫り、以下、要求書に沿って、交渉を行いました。

 


要求書

 

2020年5月12日

 

ロイヤルリムジン株式会社

代表者代表取締役 金子 健作 殿

ロイヤルリムジン東京株式会社

代表者代表取締役 遠藤 知良 殿

株式会社一二三交通自動車

代表者代表取締役 金子 健作 殿

株式会社ジャパンプレミアム

代表者代表取締役 堀江 一生 殿

 

東京都新宿区高田馬場3-13-3-404

日本労働評議会

中央執行委員長  長谷川 清輝 

当組合は、以下の諸点を要求します。第1と第3はこれまでの要求と同じですが、より詳細に要求を説明しています。第2は新しい要求です。

 

第1 賃金全額支払い

 会社は、休業期間中、賃金全額(休業手当)を支払う法的義務があります。以下、詳述します。

1 民法によると賃金全額(100%)の支払い義務があること

  労働基準法26条は、以下のように定めています。

(休業手当)第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期中当該労働者に、その平均賃金の 100 分の 60 以上の手当を支払わなければな

らない。

 タクシー事業者に対しては、東京都知事から「協力の要請」(新型インフルエンザ等対策特別措置法24条9項)や施設使用停止等の「要請」(特措法45条2項)が出されたわけではありませんから、休業は、会社の経営判断で行ったものであり、「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたります。よって、会社は、「平均賃金の 100 分の 60 以上の手当」を支払う法的義務を負います。これに違反した場合、罰金30万円以下という罰則の適用もあります(労基法120条1号)。

 更に、民法には、以下の規定があります。

(債務者の危険負担等)第536条

第2項1文 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。

 労働契約の場合、「債権者」とは使用者のことです。使用者の「責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったとき」には、使用者は「反対給付」すなわち賃金の支払を拒むことができないということです。これは、100%の賃金を支払わなければならないという意味です。ここでいう「賃金」は、「平均賃金」(労働基準法12条1項)ではなく、賃金そのものです。歩合給の場合は、1年間(就労期間が1年未満の労働者は、就労期間)の賃金の平均を、支払うべき賃金とすべきです。

労働基準法26条と民法536条2項1文は、ほとんど同じ状況について、前者は使用者に60%以上の平均賃金の支払いを命じ、後者は100%以上の賃金の支払いを命じています。労基法と民法では、2つの相違点があります。労基法26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、「使用者側の領域において生じたものといいうる経営上の障害など(地震や台風などの不可抗力は除く)」という意味です。これに対して、民法536条2項本文の「債権者の責めに帰すべき事由」は「故意、過失またはこれと同視すべき事由」という意味です。民法よりも労基法の「事由」の方が広いとされています。

もう一つの違いは、労基法の違反には罰則があるのに対して、民法の方は罰則はないことです。

今回のロイヤルリムジングループの休業は、東京都知事の「協力の要請」等に基づくものではなく、会社の経営判断で行ったものですから、使用者は「反対給付」すなわち賃金100%の支払をする義務があります。

2 不払い分は3年間請求できること

 会社が、労評の賃金100%の支払い要求を拒否し、あくまでも平均賃金の60%しか支払わない場合、その差額は賃金不払いということになります。つまり、労働者が会社に不払賃金についての労働債権を有している状態になります。つまり、労働者が会社に貸し付けをしているような状態です。これについては、年6%の遅延損害金(利息)が付きます。

 どうしても会社が支払わないと言い続けるなら、裁判で請求することになります。これまで、賃金は2年間請求しなければ、時効制度によって消滅していましたが、民法改正の影響を受けて労基法が改正され、2020年4月以降を支払日とする賃金については、3年で時効により消滅することになりました(改正労基法115条)。つまり、2020年4月支払い分以降の、不払賃金については、3年後まで裁判によって請求することができるのです。

 会社が賃金全額を支払わなければ、労評組合員はいつでも裁判で不払賃金を請求できます。また、遅延損害金も増えていきます。これは、会社の社会的信用にも影響する問題です。全額支払いを約束することを求めます。

 

第2 慰謝料支払

  今回の不当解雇、不当解雇を前提とした退職合意書への署名させたことは、労働者に対する不法行為にあたります。労評は、組合員1人当たりにつき、慰謝料として40万円の支払いを求めます。

  その理由は、以下の通りです。

 1 不当解雇

   金子社長は、第1回団体交渉で「解雇はしていない。」と述べましたが、これは事実ではありません。会社は、労働者への説明の中でも、明確に解雇と述べていましたし、退職証明書の中でも「解雇」であることが明記されています。ところが、社長は、団体交渉等で「解雇はしていない。」と述べ、事実を歪曲しています。

会社が、①解雇回避努力を行わず、労働者との協議も行わずに、労働者を不当に一斉解雇したこと、②社長が、解雇をしたという事実を認めず、その撤回もしていないことにより、労働者は多大な精神的損害を受けています。

 2 不当解雇を前提とした退職合意書への署名をさせたこと

会社は、労働者への不当解雇を通告したうえで、労働者にもう会社に残ることはできないという絶望感を与え、更に、事業再開後に再雇用をするという虚偽の約束をして、退職合意書に署名をさせました。また、一部の労働者に対しては、再雇用を約束する「退職合意書」に署名をさせています。そして、再雇用を約束して解雇した場合には、失業保険の受給ができないという指摘を受けて、「再雇用は約束していない。」と言い始めました。

   このような経緯で、労働者の多くは、不本意ながら、真意に基づかずに退職合意書に署名をせざるを得なかったのであり、退職合意書への署名によって多大な精神的損害を受けています。

   また、解雇を争っていない労働者についても、本来、受け取れるはずの解雇予告手当が受け取れなくなるという損害も受けています。

 

第3 事業の再開

当労働組合(以下、労評という。)は、ロイヤルリムジン東京株式会社、一二三自動車交通株式会社、ジャパンプレミアム株式会社の事業再開を要求します。

現在、コロナ禍による非常事態宣言により外出自粛状況が続いており、人の流れが著しく減少していますが、そのような状況においても、タクシー・ハイヤー会社の多くは減車を行なって半数ずつを交代で営業させる等の工夫をしたうえで、雇用調整助成金の給付手続きを行い、労働者に休業手当を支払いながら営業活動を継続しております。

ところが貴社は、他のタクシー・ハイヤー会社が当然のように行っている営業努力を全くせず、しかも、労働者への事前の説明もないまま、従業員を一斉に解雇し、全ての関連会社で事業を休止するという、極めて乱暴な方法で事業の休止を一方的に決定し、実行しました。

貴社が団体交渉で労評に説明したところによると、「目黒自動車交通株式会社以外は営業しても赤字になる。」、「目黒は大和グループ傘下で、グループの無線も使えるので営業すれば利益が期待できるが、他の会社では、大手の傘下ではなく、その無線も使えないから赤字になるだけだ。」との説明でした。

しかし、一二三交通の労評組合員が、コロナ禍により貴社が一斉休業を決定・実行した直前まで、現実に、高い営業収益を上げ利益を出して事実を指摘すると、社長は前回団体交渉の中で、「目黒自動車交通の次に営業を再開出来るのは一二三交通かもしれない。」との発言をしました。そこで、労評は、一二三交通の営業再開について、貴社も利益を挙げる可能性を認めているものと判断し、一二三交通の営業再開について、労評と具体的な検討を行うことを要求します。

また、ロイヤルリムジン東京株式会社、ジャパンプレミアム株式会社では、配車アプリUberを使用したハイヤー業務を行なっており、高い収益が挙げられる可能性があります。そこで、ロイヤルリムジン東京株式会社、ジャパンプレミアム株式会社の配車アプリUberを使用したハイヤー業務の再開についても、労評と具体的な検討を行うことを要求します。

 

第4 その他

 

以上


 

憤る労評組合員、社長は条件付きで休業補償を「平均賃金の90%」を支払うと発言

 

社長は、例によって、曖昧な回答で逃げようとしますが、それでは。労評組合員の怒りは当然収まりません。

口々に、気迫を込めて社長に、根拠をもって誠実に回答するように迫りました。

 

最終的に、金子社長からは今回の団交で以下の点の回答がありました。

回答が不十分な箇所については、次回までに必ず、回答をすることを約束しました。

 

① 休業手当について、基本的に今までの主張である「平均賃金の60%」と主張しながらも、雇用調整助成金の上限が上がればという条件付きながら目黒自動車交通の事業再開に参加する労働者には「平均賃金の90%」を支払うと言い出しました。

今まで、頑として譲らなかった「平均賃金の60%」の主張に風穴を開けることができました。

 

もちろん、全組合員に賃金100%を支払えという労評の要求とはまだかけ離れています。

次回の第6回団交までに誠実に検討し、根拠理由を含め団交で回答することを約束させました。

 

② 慰謝料請求については、会社の「解雇」を巡るやり方があまりにもいい加減であり、従業員に多大な混乱を招いたことは明らかです。

慰謝料が発生することを説明し、慰謝料請求も行うこと告げました。

社長は、第6回団交までに検討を行い、団交で資本が回答することを約束させました。

 

③ また、一二三交通のタクシー事業再開、ロイヤルリムジン東京とジャパンプレミアムでのUberハイヤー業務の事業再開を検討することを追及し、非常事態宣言解除後まで含めて検討した3社の事業計画書を次回団体交渉で提出することを約束させました。

 

次回団交は19日。労評はロイヤルリムジン資本との闘いを続けます。

一部報道では、ロイヤルリムジングループは目黒自動車で事業再開をし、今回の騒動は終わったかのように報じられています。

しかし、労評はまだ何も解決したとは思っていません。

今回の要求書で述べているように、「解雇なんてしていない」と”言い訳”をし、雇用関係の継続を認めている以上は、労働者の生活を保障することは、経営者として当たり前のことです。

新型コロナウイルス感染拡大を、勝手に「天災だ」などと言って、何の努力もしないことは許されません。

企業としての社会的公共性を果たさせるため、休業補償は100%支給を求めます。

 

また、いくら”言い訳”をしたとしても、多くの労働者がロイヤルリムジン資本の「解雇します」という言葉に大きく混乱し、生活設計、人生設計を狂わされたことは紛れもない事実です。

金子社長は謝罪はしないと突っ張っていますが、そういう態度を取るのであれば、労評は、混乱を招いたことに対し、慰謝料を請求します。

労評が4回目の団交でも求めたように、ロイヤルリムジン資本は労働者に対し、頭を下げて真摯に謝罪し、再び結集してもらえるように、筋を通すべきです。

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