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【労評日本交通分会】直近1年間の活動報告

しばらく活動報告をしていませんでしたが、この間も私たちは精力的に活動していました。

今回は、直近1年の活動を報告させていただきます。

日本交通立川の乗務員が加入しました

ここ最近で一番大きな出来事は、当分会に日本交通立川の乗務員が加入したことです。同社は、最大手日本交通の完全子会社であり、その動向は三多摩地区のタクシー乗務員から常に注目されています。そのため、同社が経営方針を変えれば、右へ倣えと他社も追随する可能性があります。私たちも、グループ会社の仲間が増えたことで活動の幅が広がり勢いも増しました。労評内でも「三多摩地区で組織拡大しよう」との機運が高まり、北多摩交通圏では三幸自動車分会が結成され、グリーンキャブの乗務員も労評に加入しました。また、割増賃金の未払い問題についても、「裁判をして取り返そう」と、三多摩地区を中心にビラを配布し、労評顧問弁護士の説明会を行うようになりました。

これまで既存労組が手を付けてこなかった、あるいは体制を維持するために彼らが積極的に守ってきたこの賃金体系を、私たちは崩そうと動き出したわけですから、その抵抗たるや凄まじいです。

残業代未払い説明会の様子

 

日本交通立川でのビラまきの様子

 

労評に掲示板を使わせたくない経営陣

日本交通立川は、団体交渉で私たちに組合掲示板の貸与を約束し、後日、同社の調布営業所にあるホワイトボードを組合掲示板として貸与しました。しかし、同社は、私たちが組合掲示板をまだ一度も使用していないにもかかわらず、「掲示板の使用ルールに関する協定書を締結するまで掲示板の使用を禁ずる」と前言撤回し、協定書案を示さないまま一方的に使用を禁止したのです。同社が行った行為は、団体交渉の合意破りと、合意していない「掲示板の使用ルール」の押し付けですから、明らかな不誠実団交です。しかも、これまで団体交渉で合意した他の事項については、合理的な理由もなく協定書の締結を拒んでいるのですから、同社がやっていることはご都合主義に他なりません。ちなみに、労働組合は私たちのほかに2つありますが、協定書を締結することもなく、それぞれが同社から貸与された組合掲示板を自由に使用していました。

このような嫌がらせにより、私たちは組合活動に支障をきたしていました。

この度、同社の多数派労組(調布営業所内)である多摩労働組合が、同社と同協定書を締結したことを受け、不本意ながら協定を締結することにしました。

10月22日現在、まだ使用の許可は出ていませんが、近日中に使用できるようになると思います。これまで駅や営業所の前で配布していたビラ(未払い裁判の説明会の告知ビラ)を、掲示板に張れるようになりますので、広く乗務員に訴えられると思います(直ぐに撤去されるかもしれませんが)。

 

この協定書は、日本交通三鷹営業所(本体の営業所)の社長が当労組に対して提示した「組合掲示板貸与に関する合意書」を基に作成されています。この協定書の問題点は、私たちが掲示した文書に「会社の信用棄損」や「個人の名誉棄損」に当たる内容等または事実に反する内容が記載されていないか施設管理者が確認し、彼らが該当すると判断した文書については、一方的に撤去できるといった規定が盛り込まれている点にあります。私たちからすると、労使間で協議も行わずに一方的に掲示物を撤去できるとする規定は検閲と同じで、組合活動を委縮させる効果しかないと考えています。また、他労組には無条件で貸与しているにもかかわらず、私たちにだけ協定書の締結を条件とするのは組合差別であり、あきらかな中立保持義務違反です。そのため、三鷹営業所(日本交通立川とは別会社)については、現在、東京都労働委員会に救済申し立てし、不当労働行為の審査をして頂いているところです。

今回、日交立川の社長は、三鷹営業所を真似て協定書の締結を言い出した訳ですが、私たちは、彼らの人事権を掌握している本社が裏で指示しているのではないかと考えています。

 

会社から貸与された組合掲示板(ホワイトボード)

 

コロナ禍で多くの要求を勝ち取りました!

ここ一年、日々の分会活動はコロナ対応が中心でした。

私たちはコロナ禍で直面した労働問題に真摯に取り組み、「新型コロナウイルス感染症対策に関する要求書」、「コロナに罹患し亡くなった乗務員に関する要求書」、「ドアサービスの無期限中止に関する要求書」と、コロナ関連だけでも3通の要求書を会社に提出しました。

具体的な成果としては、分会員がコロナに感染した際、当労組が労災申請をサポートし、日本交通で2例目となる労災認定を勝ち取ったほか、感染源となる恐れの高い仮眠室と風呂場の脱衣所に、高性能な空気清浄機を設置して頂きました。また、三鷹営業所の安全衛生委員会でスタンド型体温測定器の導入を提案し実現したほか、同営業所の喫煙所を従業員が頻繁に通行する場所から駐輪場の端へと移動させました。これは、私たちがコロナの感染防止対策と間接喫煙対策の一環として多摩府中保健所に通報したことがきっかけで実現したものです。ドアサービスの無期限中止についても、私たちが要求書を提出した翌日に会社は一時中止の通達を出しました。

 

ドアサービスの無期限休止に関する要求書

 

コロナがタクシー事業者に与えた影響

コロナがタクシー事業者に与えた影響は甚大で、私たちでは解決できない問題も多々ありました。中でも、ロシアがウクライナに侵攻しLPガス価格が高騰した問題は、国が燃料高騰対策を行ったものの焼石に水で、身売りや廃業する事業者が後を絶ちませんでした(日本交通はそれらの企業を買収してシェアを拡大しました)。私たちはこれらの問題について、「LPガススタンドの利用制限を撤廃し、効率的な営業をすることで、会社の利益と乗務員の給与が確保できる」と、日交経営陣に要求し続けましたが、彼らが首を縦に振ることはありませんでした。そんな中、業界全体で1割ほどの乗務員がタクシー業界を去り、それが稼働率の低下に拍車をかけ、経営不振の一因となりました(日本交通は経営が苦しいと言いながらも、しっかり利益を確保しました)。

 

洗車時間はサービス残業?

私たちタクシー乗務員は、お客様を目的地まで安全快適に輸送するのが仕事です。ガラスは雨の日でも視界が悪くならないようきれいに洗い、車内もアルコールで除菌するなどして常に清潔に保つよう心がけています。これらの作業を手抜きすると輸送品質が低下し事故やクレームに発展するため、帰庫が送れて洗車する時間が無い時でも、洗車業者に自腹で依頼し、必ず行うのが不文律となっています。このように、洗車はタクシー事業をするうえで大切な業務です。しかし、日本交通では、長年、洗車はサービス残業といった扱いをしていて、洗車に要する時間を労働時間として正確に計算してきませんでした。そこで、私たちは「洗車手当を創設し拘束時間内に丁寧な洗車ができるよう労働環境を整えるべきだ」と団交で要求したのですが、日交の経営陣は「洗車時間分の賃金はきちんと支払っているから洗車手当は必要ない」と、サービス残業が行われている労働実態から目を背け続けているのです。

私たちが労基署に申告し、監督官から指導を受けた現在も、「洗車時間を拘束時間に含めたら、その分早く帰庫しなければいけなくなり売り上げが減る。日交労と調整しなければならない」と、対応を先延ばしにしています。

日本交通は労基署に対し「アルコール検査を出社直後と退社直前に行い、その時間を起点終点に労働時間の管理をする」と改善策を示した訳ですから、早急に実行に移して頂きたいものです。

 

休憩時間も正確に把握せよ

日本交通の自動日報システムは、メーターが空車の状態で10分以上停車すると一律休憩時間としてカウントされるため、本来、労働時間であるはずのタクシープールでの客待ちや、事故渋滞で動けなくなった時間が全て労働時間から控除されます。一方、自動日報システムには、ゆっくり移動すると車がずっと停車していたと認識される特性があり、タクシープールでの待機時間を全て休憩時間としてカウントさせることが可能です。そのため、この特性を活かし、休憩をほとんど取らずに稼ぐ乗務員もいます。後者については、過労運転防止の観点から休憩時間の正確な把握が求められます。

私たちはこの件についても三鷹労基署に申告しました。そのかいあって、現在会社は、「休憩ボタン」の実証実験を関西のグループ会社で行っています。9月末までに労働時間を正確に把握するシステムの構築について結論を出すとしていますので、11月から始まるであろうタクシー運賃の値上げに併せて、労働時間の管理システムを大幅に見直すのではないかと期待しているところです。

なお、労基署は「会社がこれらの改善案を導入しなかった場合、再指導する」と回答するとともに、「導入したかどうかは、労基署の方で責任をもって確認する」と約束しています。

当初の目的である洗車手当はまだ勝ち取れていませんが、代わりに、サービス残業といった運輸業界にはびこる大きな問題を解決するきっかけを作ることができそうな状況です。今後の動きに注目してください。

 

健康管理プロジェクトが始動

日本交通は2022年9月より、本体・子会社全約8000人のタクシー乗務員を対象に「健康管理プロジェクト」を始動させました。全員同一の基準で、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査や血液測定、脳ドックの受診を徹底するもので、健康起因事故の防止につなげる考えのようです。血圧測定は、健康診断の2次検診で高血圧と診断された乗務員や、治療中の乗務員全員が毎出番乗務する前に測定し、高い数値が出た場合、乗務を見合わせることになっています。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の啓発施策も近く実施する予定とのことです。

心疾患や脳梗塞が発症する原因の一つに過労があります。日本交通は労基署から労働時間の管理について指導されているわけですから、健康管理プロジェクトの一環として、休憩と拘束の正確な労働時間管理はすぐに実行する必要があります。

 

日本交通立川の団体交渉

2022年3月4日に行われた第一回団交では、組合員を公然化するとともに、組合員の労働条件について明らかにするよう求めました。労働契約書などの現存する書類は全て出してもらいましたが、その過程で労働条件通知書を入社当時作成していなかったことが明らかとなりました(当時は通知書の作成が義務付けられていなかったため)。その他の議題・要求事項として、南多摩営業所の過半数代表の選出方法について※、組合掲示板の設置、会議室の利用、チェックオフの実施など、13項目の労働協約を締結するよう申し入れました。(※南多摩営業所に過半数労組が存在しなかったため、36協定などの労働協約をどのような形で締結しているのか質問しました。しかし、私たちがこの件について問題提起した11日後に、日本交通立川の南多摩営業所を飛鳥交通多摩へ、飛鳥交通多摩の国立営業所を日本交通グループへ譲渡する許可申請が行われたため、歪な過半数代表選出の実態解明はできたものの、改善は実現できませんでした)

3月23日に行われた二回団交では、36協定の開示、給与計算式の説明、アンケート回収箱の設置、同社経営陣による組合員に対する不当労働行為について話し合われ、不当労働行為については謝罪して貰いましたが、その他の要求については進展が見られませんでした。

5月9日に行われた第3回団交では、会社は、確認書の締結を拒否したほか、一度貸し出すと約束した掲示板を取り上げるという暴挙に出ました。会社は「貸与した掲示板については、組合が使用方法についての労働協約を締結するまで使わせない」と発言。自分たちにとって都合のいい協約だけ締結させようとする高圧的な態度でした。また、アンケートボックスの設置についても、他労組には認めて当分会には認めないという差別的な回答がありました。

その他の要求として分会長の構内入構についてですが、会社から拒否されたため、代わりに、当労組の組合員を安全衛生委員として指名することを提案しました。あと、給与の計算式については、相変わらず良く分からない説明を繰り返すばかりでしたので、次回の団交で、労使双方が弁護士を同席することを提案しました。

 

8月10日に行われた第4回団交では、給与の計算式を中心に話し合われました。労使双方が弁護士同席ということもあり、法的な観点から質疑応答が進んだものの、会社側は最後まで割増賃金は支払っているという立場を崩さなかったため、この件につきましては、裁判をする方向でビラを作成し、日交立川の各営業所と私鉄・JR・京王線各駅のタクシープールで配布しました。

 

日交立川 第1回説明会ビラ

 

9月28日に行われた第5回団交では、これまで7乗務だったシルバー乗務員(再雇用された非正規乗務員)が、10月から、社会保険が適用となる12乗務と、適用とならない5乗務に分かれる件を取り上げ、「12勤のシルバー乗務員は、正規社員と全く同じ仕事をしているのに、歩率が低くかったり、賞与が無かったりするのは、同一労働同一賃金の観点からも問題である」と、正規社員と同じ待遇にするよう要請しました。また、就業規則を早急に変更し、労基署に届け出るとともに、賃金計算式についてシルバー乗務員に周知するよう要請しました。なお、これらの要請については、9月30日に実施されました。

 

残業代未払い説明会は、第2回と第3回を以下の日程で行います。

日本交通立川の現役乗務員および退職された方たちは、ぜひご参加ください。

 

未払い割増賃金を取り戻すための説明会

賃金問題以外の職場の不平不満についても相談にのります

開催日:2022年11月13日(日)、12月4日(日)

時  間:15時~16時(開場14時30分)*17時まで個別相談会

場  所:レンタル会議室プロム武蔵小金井(英会話ノバ)

小金井市本町1-18-10 小金井本町ビル 5F

最寄り駅:武蔵小金井駅 南口徒歩1分

南口を出て左手に見えるファミリーマートのビルです。

主  催:日本労働評議会講師:指宿昭一弁護士(国際自動車事件担当・労評顧問)
※指宿弁護士が参加するのは12月4日(日)だけです。

※できれば、給与明細書を持参してください。

※コロナウイルスの感染拡大の状況によっては、説明会を延期する場合があります。

延期する場合は、日本労働評議会のホームページ(お知らせの最新情報)にてお知らせいたします。

 

日交立川第2回説明会ビラ

国土交通省に指導要請しました

日本交通は、11月14日から開始される運賃改定(値上げ)に伴い、迎車料を現行の420円から300円に引き下げる方針を発表しました。

この件について、当労組は以下の内容で国交省に指導を要請しましたので、ご報告します。詳細はPDFをご覧ください。

 

2022年10月24日

国土交通省

国土交通大臣 斉藤 鉄夫 殿

 

運賃改定に託けた「迎車料金の引き下げ」に関する指導要望書

 

要望の趣旨

日本交通株式会社は、令和4年11月14日から開始される運賃改定に伴い、初乗り運賃を420円から500円に値上げする一方、迎車料金を420円から300円に値下げする方針を発表しました。

これは運賃の組み換えに他ならず、利益を得るのは日本交通の利用者と配車アプリ運営元だけです。乗務員にとっては売り上げが減少する不利益しかありません。

今回の運賃改定は、乗務員の労働環境改善が目的の一つであり、ある意味社会公約となっています。この運賃改定の趣旨を考えると、日本交通が行った迎車料金の値下げは、これまで事業者が負担していた配車アプリGOの運営費を乗務員に一部転嫁しただけの労働条件の改悪であり、国民に対する裏切り行為です。労働組合として看過できません。

迎車料金は、現行の420円に据え置くか420円以上に引き上げ、アプリの収益化の原資については、運賃値上げ率の3%の範囲内で運営元と調整するよう指導して頂きますようお願い致します。

日本交通への要求書

国土交通省への要望書

 

報告は以上です。


〇連絡先〇

日本労働評議会(労評)

TEL:03-3371-0589 FAX:03-6908-9194

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