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【筑波大分会】 大学に「定額働かせ放題」をやめさせるために (大学教員の「定額働かせ放題」問題 第2回)

 「大学教員の『定額働かせ放題』問題」シリーズ、第2回です。
 前回は、「定額働かせ放題」を法的に可能にしている裁量労働制を拒否する闘いの開始について報告しました。
 今回は、その具体的な展開を報告します。

3 裁量労働制拒否闘争の展開

 竹谷教授・吉原教授は、裁量労働制の適用を拒否した結果、残業をするにはその都度大学の許可を得なければならなくなりました。

 そこでまず第一に、研究時間を確保するために残業申請をすることを大学に求めました。
 これへの大学の回答は「(36協定に列挙された残業命令を出すべき事項にある)『その他業務関連上やむを得ないとき』に本来業務としての研究業務は該当しません。ついては、業務全体で調整し、勤務時間内で研究業務に従事してください」というものでした。
 しかし、教育と校務、その他の事務で労働時間はほとんど埋まってしまい、研究する時間などないのです。学期が始まる4月より前に、組合員の方から「調整」を求めていましたが、ほとんどそれがなされないまま学期が始まってしまったという経緯があります。

 また第二に、科学研究費(一般に「科研費」とも言われます(※4))の申請に必要となる研究計画書作成の際、海外の大学と連絡するために時間外かつ深夜労働を行いたいと申請しました。
 すると、大学側から「個人の研究活動で時間外勤務を申請することはでき」ないため、「本件はお認めできません」と返ってきました
 しかし、研究者が獲得した科学研究費の一部は「間接経費」として大学に納めなければなりません。また、科学研究費の獲得については大学から強いプレッシャーがかけられています。本当に科学研究費の申請のための時間は、「個人の研究活動」と言っていいのでしょうか。

 

4 団体交渉の申入れ

 そこで、労評筑波大分会は大学に団体交渉を申し入れ、以下のように要求しました。

(1)ア
  「業務全体で調整し、勤務時間内で研究業務に従事」せよという大学の回答は、働き方の実態からすれば無理を強いるものであり、研究業務を行うことを禁止するに等しい。よって、研究業務について、在宅で時間外ないし休日勤務を行うことを認めるよう、再度求める

 
  筑波大では、勤務時間のほとんどを教育・校務等の業務が占め、事実上、裁量労働制のもと、各教員が「裁量」で時間外ないし休日において研究業務を行うことが常態化している(そのため、裁量労働制の適用を受けない教員は、時間外ないし休日勤務によらないと研究業務を行うことができない)。このような大学の労働時間の実態についてどのように考えているのか、見解を述べることを求める。

(2)
 獲得した科学研究費の一部は「間接経費」として大学に納めなければならないこと、大学は科学研究費を獲得するよう、教員に強いプレッシャーをかけていることなどからすれば、大学側の「個人の研究活動で時間外勤務を申請することはでき」ないという回答には疑問を感じる。この点を踏まえ、大学としての見解を述べることを求める。

 

 今回はここまでです。次回はいよいよ団体交渉の報告です。来週更新します。

 

※4 科学研究費(科研費)とは、文科省所管の独立行政法人である日本学術振興会が、毎年公募を募り、審査を経て研究資金の助成を行う「科学研究費助成事業」(学問の全分野にわたるあらゆる学術研究の発展を目的とする、とされています)に基づき交付する競争的研究資金です。

 国の政策で運営費交付金が減らされてきた現在の国立大学において、研究を行うには、外部の競争的資金を獲得することがほとんど前提となっています。本文にも書いたように、各大学・研究機関は、所属する研究者に科研費獲得を強く奨励し、また、科研費が交付されると、その一部は「間接経費」として各大学等に充当されます。

 科研費獲得のための申請業務は研究者(教員)がやらなければなりませんが、そのための事務負担は決して軽くなく、書類作成の準備には何十時間もの作業が必要です。

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