Archive for the ‘交通運輸’ Category

【東京都本】アート引越センター・世田谷支店で会社との交渉が行われています。

2018-12-07

東京・世田谷支店で現役労働者が公然化を会社に通告

労評では昨年、神奈川でアート引越センターの元労働者から寄せられた労働相談をきっかけに、退職労働者が中心となって、資本との交渉や裁判闘争を闘ってきました。

組合からの追及により「引越し事故賠償金制度廃止」などの成果を上げてきた一方で、今もなお、過酷な労働環境の下で働く現役労働者が立ち上がって会社の中で改革に取り組むことが出来ていませんでした。

各支店への情宣活動を通じて、東京の世田谷支店の現役労働者Aさんが連絡を取ってきたことをきっかけに公然化に向けた準備を重ね、7月17日、ついに会社に対して公然化を通告しました。

公然化から少し時間が空いていますが、まとめて書いていきたいと思います。

 

正規、非正規の理不尽な格差と搾取の実態

Aさんが組合加盟、公然化に立ち上がるきっかけは、アートでの理不尽な正規、非正規格差の問題でした。

Aさん自身は通算で30年近くアートで常勤アルバイト(通称:契約社員)として勤務してきましたが、時給は1,000円。数年前の賃金改定で、賃金の切り下げがあっても、昇給はありません。

 

直近の契約時に、見かねた支店長が職権で20円昇給しようとし本社に打診したところ、門前払いをくらい、結局その年も昇給はありませんでした。

 

格差は時給だけではありません。

常勤アルバイトには正社員には当然与えられる交通費も、地域手当もありません。

もちろん一時金の支給もありません。

(※交通費は、1回目の団交後に支給されるようになりました。)

 

ベテランのAさんは現場に出れば、リーダーとしてチームを率いて会社の顔として仕事をしているのにも関わらず、待遇は大きな差を付けられているのが実態です。

さらに言えば、短期アルバイトとして募集しているネット求人では、「時給1,100円+交通費支給」と掲載されています。

長年働いている労働者にとってみれば、なんとも理不尽な扱いをされているということです。

 

Aさんは、誰も立ち上がらないのなら、若い労働者のためにも自分がまず先に会社と闘おうと決意を固めました。

 

会社との団体交渉を開始しています。

 公然化と同時に団体交渉を申し入れ、8月6日に第1回、11月12日に第2回団体交渉が行われています。

 

【第1回団交の状況】

団交の主な争点は、「正規雇用と非正規雇用の理不尽な待遇格差の是正」についてです。

世田谷支店で公然化したAさんは常勤アルバイト(社内では契約社員)で20年以上アートに勤務してきましたが、時給は1,000円。

そのほかにも正社員であればもらえる様々な手当がついていない状態です。もちろん、仕事上では差などなく、ベテランのAさんは現場のリーダーとして日々正社員と同等の仕事をしています。

今回の団交では組合側から、このような不合理な現状を訴え、会社に回答を求めました。

会社側からは、中間管理職クラスが参加してきましたが、「自分としても時給があがってもいいのではないか」と本音を漏らしつつも、会社として、時給UP、手当のすぐに支給するという回答は避けました。

 

【第2回団交の状況】

2回目も争点は、①正社員と常勤アルバイトの待遇格差、②A組合員の昇給問題の大きく2点について継続した交渉を行いました。

1点目について、会社は、「最終的には、常勤アルバイトも社員を目指してもらいたいと思っているので、常勤アルバイトの待遇は変えない」と回答しましたが、これは話題をすり替えです。正社員化の手続きや要件について追及すると、

支店長は「仕事のやる気と売り上げの数字を見る」といい、

ブロック長は「数字はあまり気にしない」といい、

本社の担当は「支店が決めるので分からないが、本社で否決されることもある。理由はわからない」などと、曖昧で無責任な回答しか述べませんでした。

現実には、常勤アルバイトから正社員になる意思表示をしたにもかかわらず、本社で否決された例も報告されています。

本人も否決の明確な理由が伝えられず、結局愛想を尽かして退職しました。

 

2点目は、時給1,000円から上がらないという問題です。

11月に新たな更新時期を迎えましたが、今回も1,000円の提示だったため、契約書へのサインを保留し、組合との交渉で金額を決定することになりました。

具体的な交渉は、12月の団交で行われますが、アートの労働者にとっては、これまで会社の言い値で時給を決められ、上がらない理由も切り下げられる理由もはっきりしないまま押し付けられていたところから、組合を通じて、会社と対等に交渉するテーブルに載せることが出来たのは意味のあることだと思います。

 

健全に仕事ができる環境を作ろう!

2020年には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を禁止する働き方改革関連法案が施行します。

アートの現状はまさに不合理であり、「正社員になればいいじゃないか」という無責任な回答は許せません。

組合は、引き続きこれらの点を追求していきます。

次回の団交は12月14日に開催されます。追ってまた内容を報告します。

 

アート世田谷を皮切りに、今回立ち上がった労働者だけの問題だけでなく、アート全体を改革するための取り組みとして、運動の輪を広げていくようにしていかなければならないと思います。

 

↓↓↓相談はこちら↓↓↓

専用メール:art.rohyo@gmail.com

専用電話:080-8010-9653

 労評交運労トールエクスプレスジャパン労組の活動報告

2018-11-21

 冬季一時金闘争報告 -会社はさらなる努力を!-

今年の冬季一時金は、昨年同期と比べて、約30%増額していますが、同業他社と比べるとまだ相当低額です。

労評トール労組は、この点についての会社の認識を問いただしました。

 

会社もトールの一時金が、同業他社の世間相場と比べれば、まだ相当低いことを認めました。

その上で「世間相場に近づけるために経営努力をする」と回答しました。

 

昨年10月から取引先に荷物の運賃値上げ交渉をしてきたが、今年度になってその成果が現れてきており、その成果を労働者に回して、昨年実績より増額したということです。

 

日本の道路貨物輸送は、運賃値下げ競争という過当競争の中で、トラック運転手に対する残業代の不払など低賃金の犠牲を強いることで成り立ってきました。

交通運輸で働く労働者は、この「犠牲」を自らの手で断ち切らなければなりません。

まずトールにおいて、この闘いを、労評トール労組と共に進めていくことを呼びかけます。

 

未払残業代請求裁判報告 -証人尋問が行われる-

去る10月15日、裁判の最大の山場である証人尋問が大阪地裁で行われました。

原告である労評トール広島分会の組合員2名、被告会社側から1名の証人尋問がありました。

 

裁判は、この間の双方の主張をまとめた最終準備書面と呼ばれている書面を、今年中に提出し、おそらく判決は、来年の2月頃になると思われます。

 

今後、判決に向けて、裁判で会社が主張してきたことが、トールの実態とかけ離れた主張であるかを、連続して報告していきたいと思います。

 

例えば、

【会社の主張】

・集配労働者の努力や工夫で賃金対象額を増加させることができる。

・したがって、残業せず、あるいは少ない残業で多くの賃金対象額を稼ぐように努力や工夫をすれば、多大な能率手当を得ることができる。

・能率手当が、少ないのは、努力や工夫が足りないからだ、またチンタラ仕事をしているからだというような主張をしています。

 

【原告の主張】

・配達先や集荷先は、会社が決めるのであって、また配達量も集荷量も顧客先の事情によって決まるのであって、集配員の努力や工夫で増加さすことはできないと主張しています。

・また集荷する限り、残業にならざるを得ないと主張しています。

 

配達時間帯に追われ集荷時間帯に追われ、まともに昼休憩さえ取ることもできない仕事量を与えられて働いている集配員にとって

会社の主張がいかにデタラメであるかは分かると思います。

今後連続して、裁判での被告会社の主張を暴いていきます!

 

現行の賃金規定、「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」は、絶対に変えさせるようにしていかなければなりません。

そのために、裁判での証人尋問を中心にして、今後、シリーズとして、トールの裁判報告を行っていきます。

キャピタルモータース㈱・キャピタルオート㈱で分会結成して6か月が経過

2018-11-20

労働者に不利益な賃金改定をきっかけに新組合を結成

杉並区にあるタクシー会社、「キャピタルモータース株式会社・キャピタルオート会社」に労評の分会である「労評キャピタルユニオン」を結成して早6か月が経とうとしています。

12月には組合事務所ができて、組合員も徐々に増えています。団体交渉も回を重ね、いよいよ争点が絞られてきています。

大きな争点は会社が2年前に導入した新賃金規定が不利益変更かどうかという点です。

労評キャピタルユニオンでは、これまでの手当類が減らされ、賃金が減額されたと主張し、会社は働いた成果が賃金に反映する形で変更したので不利益変更ではないと抗弁し、実際のサンプルや数字を用いた論証を行っています。

会社にはもともと企業内労組がありましたが、いわゆる御用組合で、団体交渉もまともに開催していませんでした。

約2年前には組合の合意を得ずに当時の委員長が新賃金規定を受け入れたことなどに不満を募らせた労働者が、労評に加入して新労働組合である「労評キャピタルユニオン」を立ち上げたいう経緯があります。

 

労働者のための健全な労働組合を目指して

御用組合では労働者の不満があっても、それを要求として取り上げ会社と交渉することがありませんでした。

キャピタルで働く労働者はやっとまともな労働組合ができたと期待感が高まっています。

タクシー業界は乗客の減少に加えて外国資本の参入(いわゆる白タク業者)など、経営的に厳しいと言われています。

特に中小企業では経営も厳しくなっているなかで、一方的に労働者にしわ寄せを転嫁するのでなく、労使が納得する条件で労働条件を確定し、売り上げ確保に進むことが求められます。

キャピタルユニオンはまともな労働組合として、今後会社とは労使対等の関係を築いて行きます。

11月19日 都労委でトールエクスプレスジャパンの不当労働行為をめぐる審問

2018-11-14

ストライキ闘争への会社の弾圧を暴く

来る11月19日(月)午後1時30分~午後6時30分、トールエクスプレスジャパン労組(トール分会)に対する会社の不当労働行為を問う審問が行われます。

組合は広島分会から2名の組合役員、会社側からは本社の総務担当と広島支店支店長が証人に立ちます。

19日当日は傍聴席を埋め尽くして、当該組合員と支援に駆けつけた組合員が一体となって、会社の不当労働行為を立証していきます。

昨年11月労評トール労組は東京中央分会と広島分会で一斉に部分ストライキに入りました。

組合は、自分の担当エリアを終えて帰っても、居残りをさせられ、実質的に残業代がまともに支払われない残業を拒否するという部分ストライキを行いました。

しかし、会社は全国の支店長を動員して、組合員のみに8時間を過ぎたら帰れと命じ、残っている仕事を動員した支店長にやらせるなど、歩合給で仕事をしている組合員の賃金をカットするための弾圧をしてきました。

定時で帰ったら賃金が4万、5万多い組合員は10万近く減ってしまいます。明らかに経済弾圧(兵糧攻め)でもって組合のストライキ闘争を弾圧してきたのです。

 

今回のトールエクスプレスジャパンの組合弾圧は露骨なものであり、不当労働行為性は明らかです。会社側は当日どのような言い訳をしてくるのか、見ものです。

 

トール残業代裁判と合わせて来年は闘いの成果が表れます

組合はトールエクスプレスジャパンを相手に原告約10人で残業代請求の訴訟を行っています。

去る10月15日に大阪地裁で証人尋問が行われ、早ければ来年春には判決が下ります。

歩合給でありながら、その中に残業代が含まれているという会社の主張はとても認められないでしょう。

国際自動車事件の裁判にも近い内容を含んでいますが、労働者が残業をしながら、正しく支払われないという賃金制度は必ずなくさなければなりません。

私達は御用組合が会社と結託して、まともな経済要求闘争をしないなかで、敢然と労働者の要求を取り上げて闘っています。

今後も、トールエクスプレスジャパンのためにも、運輸労働者全体の利益のためにも、裁判で良い結果を出していきたいと思います。

【東海地本】11/24 弁護士による無料労働相談会 @名古屋 開催

2018-11-05

解雇をどうしても撤回させたい、残業代を支払ってもらいたい、まともに働けるように就業規則を変えてもらいたい、パワハラを辞めさせてほしい、など、職場における問題を抱えて悩んでいる方。

また、労基署に言っても改善されず、労働組合や弁護士に相談しても話を聞いてもらえないという方。

弁護士による労働相談会を行います。

今回は、東海地域(愛知、静岡、三重、岐阜)にお住いの方限定です。
相談される場合は、下記の連絡先に、氏名、連絡先、相談内容の主旨をお知らせください。
相談時間は1人(または1組)30分以内です。弁護士と面談しての相談を希望される方は、事前に時間の予約をしてください。
なお、面談でのご相談は先着2組に限らせていただきます。

【日時】

 11月24日(土)、13:00~15:30

【会場】

 当労組事務所
〒460-0003
愛知県名古屋市中区錦2-9-6 名和丸の内ビル7階B

 【ご予約連絡先】

 電話:052-799-5930

担当する弁護士は、国際自動車訴訟の担当弁護士で、タクシー、トラック業界に詳しい弁護士です。
労働組合づくりの支援もしています。労働組合を結成したい、労働組合を強くしたいという相談にものります。
ぜひこの機会にご相談ください。
【弁護士紹介】
 指宿昭一弁護士(いぶすき しょういち)
 (暁法律事務所(東京新宿区高田馬場))
 日本労働弁護団全国常任幹事・東京支部事務局長
 外国人研修生問題弁護士連絡会共同代表
 外国人労働者弁護団代表

国際自動車残業代請求最高裁判決について

2017-03-01

2017年2月28日、国際自動車第1次訴訟最高裁判決が出されました。一部の報道では労働者側が敗訴したかのような記事が出ていますが、主文は、破棄・差し戻しでした。もう一度高裁でやり直しになったということですが、この判決について労評顧問弁護士であり、この事件の担当弁護士である指宿弁護士から解説をしてもらいましたので、その文章を掲載します。

理由の要旨は以下の通り

1 労基法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するには、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否かを検討し、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを検討すべき(引用・高知観光事件最高裁判決、テック・ジャパン最高裁判決)。
 売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に、当該定めに基づく割増賃金が同条の定める割増賃金といえるか否かは問題となり得るものの、当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできない。
2 しかるところ、原審は、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否か、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを審理判断していないから、審理不尽の違法がある。
3 なお、原審は、法内労働時間や法定外休日労働にあたる部分とそれ以外の部分を区別していないが、前者につき支払い義務を負うかどうかは、労働契約の定めに委ねられていると解されるから、前者と後者は区別する必要がある。
4 未払い賃金の有無及び額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。

この判決の意味するところは何か

 最高裁判決は、国際自動車の賃金規則が、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否か、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを審理しなおすために、東京高裁に差し戻すと言っています。「通常の労働時間の賃金」とは、残業をしない場合の賃金、すなわち所定内労働時間の賃金のことです。国際自動車の歩合給は、「通常の労働時間の賃金」から残業代等の割増賃金相当額を控除した賃金です。これに、加えて、割増賃金に相当する金額を支払っても、元々の「通常の労働時間の賃金」から割増賃金相当額が控除されているのですから、「割増賃金に当たる部分」を支払ったことにはなりません。
 最高裁判決の論理を本件に当てはめれば、割増賃金が支払われたとは言えず、労基法37条違反により、会社は労働者に対して、未払いの割増賃金を支払わなければならなくなるはずです。
 一部の報道は、今回の最高裁判決を、「歩合給から残業代差し引く賃金規則は「有効」」と報道しました。これは判決の読み間違えによる誤報です。判決は、賃金規則が労基法37条に違反して無効なのか、有効なのかを審理するために、東京高裁に差し戻したのです。そして、最高裁判決の論理は、賃金規則が労基法37条違反であることを主張するための有力な武器になるのです。
 労評は、大阪地裁で、トールエクスプレスジャパン事件を闘っています。この事件においても、今回の最高裁判決の論理が闘いの武器になります。しかも、トールはトラック運転手の事案です。国際自動車のようなタクシー運転手が、ある程度の自由裁量に基づき労務を提供しているのに対して、トールのようなトラック運転手は、受け持ちの配送ルートが決まっており、会社からの指示によってやるべき仕事が決まっています。会社の命令で残業をさせられているのに、能率給から残業代等の割増賃金が控除されてしまうことが不合理であることは、誰の目にも明らかです。
 国際自動車事件とともに、トールエクスプレスジャパン事件は、労基法37条を守り、1日8時間、1週40時間労働制の原則を守るための重要な闘いです。全国の交通運輸労働者の権利擁護のため、共に闘いましょう。
 国際自動車事件弁護団 弁護士 指宿 昭一

トールエクスプレスジャパン賃金規則の問題点

2016-07-07

~残業代を実質的に支払わない賃金規則は違法~

 

労評弁護団・トール残業代請求訴訟弁護団 弁護士 指宿 昭一

 

トールエクスプレスジャパン(以下、「トール」といいます。)の賃金規則の問題点は2つあります。

1つは、通常の賃金(能率給以外の賃金)に対する割増賃金が支払われていないことです。もう1つは、能率給に対する割増賃金の1部が支払われていないことです。

 

1 トールの賃金の支給項目

トールの賃金の支給項目としては、職務給、能率手当、時間外手当A、時間外手当B、時間外手当C、勤続年数手当、通勤別居手当、独身手当、配偶者手当、扶養手当等があります。ここでは、勤続年数手当、通勤別居手当、独身手当、配偶者手当、扶養手当等のことをその他の手当と呼ぶことにしましょう。

そうすると、

賃金総額=職務給+能率手当+時間外手当A+時間外手当B+時間外手当C+その他の手当

ということになります。

現業職の場合の職務給は、路線職と集配職は13万円、作業職は15万円、整備職は12万8000円です。

能率手当は、走行距離、積卸重量、立寄支店数等に基づいて計算した「賃金対象額」という数字から時間外手当Aを差し引いて計算します。すなわち、

能率手当=賃金対象額―時間外手当A

となります。

時間外手当Aは、通常の賃金の時間外賃金、深夜賃金、休日賃金の合計です。

時間外手当Bは、能率手当の時間外賃金、深夜賃金、休日賃金の合計です。

時間外手当Cは、残業が月60時間を超えた場合、法定の割増賃金が5割に増加するのでその時間外賃金の増加分です。

 

2 通常の賃金(能率給以外の賃金)に対する割増賃金(時間外手当A)が支払われていないこと

トールでは、通常の賃金(能率給以外の賃金)に対する割増賃金を時間外手当Aといいます。時間外手当Aは、通常の賃金の時間外賃金、深夜賃金、休日賃金の合計です。

労働者の賃金明細を見ると、「時間外手当A」という欄があり、一定の金額が記入されています。つまり、一応、形式上は、時間外手当Aは支払われています。

しかし、能率手当の計算において時間外手当Aが差し引かれるので、時間外手当Aがいくらであっても、賃金総額は変わりません。つまり、賃金総額から見ると、時間外手当Aは払われていないのと同じことになります。実質的には、時間外手当Aは支払われていないのです。

これを数式で説明すると以下のようになります。

賃金総額=職務給+能率手当+時間外手当A+時間外手当B+時間外手当C+その他の手当

=職務給+(賃金対象額―時間外手当A)+時間外手当A+時間外手当B+時間外手当C+その他の手当

=職務給+賃金対象額+時間外手当B+時間外手当C+その他の手当

 

時間外手当Aは、一度、足されて、次に差し引かれますから、結局、賃金総額の計算においては、まったく関係のない数字ということになるわけです。

つまり、時間外手当A(通常の賃金(能率給以外の賃金)に対する割増賃金)は実質的に払われていないことになります。

労働基準法37条1項は、時間外・深夜・休日労働に対する割増賃金を必ず支払わなければならないとしていますから、トールの賃金規則はこの条文に反しています。形式上、時間外手当Aを支払っているので、この条文に直接違反していないとしても、この条文の趣旨に反し、公序良俗違反として無効になります。

形式上、残業代(割増賃金)を支払っている形を取りながら、実は、同じ金額を差し引いて、実質的に支払っていないという会社は、トラック、タクシーなどの交通・運輸業界ではよく行われていますが、労働基準法の趣旨に反する脱法行為であり、許されることではありません。東京の国際自動車(KMグループ)という大手タクシー会社では、乗務員の労働者たちが東京地裁に未払残業代を請求する訴訟を提起し、勝訴しました。会社は東京高裁に控訴しましたが、控訴審でも労働者勝訴の判決でした。会社は、最高裁に上告し、今、最高裁で審理がなされています。

国際自動車事件の判決では、残業代を形式上支払っても、実質的に支払っていない場合には、労働基準法37条1項の趣旨に反し、公序良俗違反なので、民法90条により無効となるとして、会社に対して、残業代と同じ金額の賃金の支払いが命じられました。

トールでも、この国際自動車事件判決と同じ論理により、会社は時間外手当Aの金額を労働者に支払わなければならないはずです。

 

3 能率給に対する割増賃金(時間外手当B)の1部が支払われていないこと

能率給=賃金対象額―時間外手当Aという計算式のうち、「―時間外手当A」という部分は、労働基準法37条1項の趣旨に反し、公序良俗違反なので、民法90条により無効になるはずです。

そうだとすると、時間外手当Bの計算も違ってきます。

時間外手当Bは、能率手当の時間外賃金、深夜賃金、休日賃金の合計です。能率手当の金額が「賃金対象額―時間外手当A」ではなく、「賃金対象額」となるのですから、それに対応して、時間外手当Bは増額します。

つまり、これまで会社が支払ってきた時間外手当Bは不足していることになり、能率給に対する割増賃金(時間外手当B)の1部が支払われていないことになります。

 

トール広島営業所の労働者は労評トール広島分会を結成し、2016年6月14日に、9名の原告が大阪地裁に未払賃金を請求する訴訟を提起しました。提訴は、関西テレビのニュースや毎日新聞、産経新聞等でも報道され、社会的に強い関心を呼んでいます。

全国のトールで働く労働者のみなさん。未払の時間外手当を取り戻しましょう。関心のある方は、労評(日本労働評議会)もしくは暁法律事務所に連絡をしてください。

トールエクスプレスジャパン続報

2016-05-31

組合結成と団体交渉申入れ

5月30日の午前中、労評の本部役員1名、及び大阪府本役員2名がトール本社(大阪市)において労評トール広島分会を結成したことを通知し、要求書の提出と要求書のもと団体交渉行うよう申し入れしました。団体交渉は団交申入れから2週間以内に持つよう要求しました。
会社は、人事部の労務担当マネージャーが対応し、組合の要求に基づいて団体交渉の日程を検討することになりました。

広島支店では早朝から、労評トール広島分会を公然化し、ビラの配布、及び支店長に対し、労評に加盟しトール広島分会を立ち上げたことを告知しました。また広島トール労働者に対し、労評への加盟の呼びかけを行いました。

組合結成の状況報告

5月22日トール広島分会結成、5月30日公然化!

5月22日広島市内にて、トールエクスプレスジャパン(以下トール)の分会「トール広島分会」が結成されました。トールエクスプレスジャパンの労働者が加盟し、執行部体制と今後の活動方針について決議しました。

トール広島分会結成の意義

トールは交通運輸業の企業の一つです。トールのように歩合給から残業代を差し引くやり方は、交通運輸業界全般でやられています。そのため業界に低賃金と長時間労働が蔓延していますが、既存の労働組合の多くはこの問題に取り組みません。こうした中で労働者は不満や怒りを持ちながらもどうしていいのかわからない状態に置かれています。労評トール広島分会を立ち上げることは、業界のトラック労働者に対して大きな影響力を持ち、一点の火花として大きな波及力を持ちます。今の業界内の資本間の競争において、トールだけ特段に賃金が上がるということはありません。物流、旅客の業種は違ってもドライバーは低賃金で使われています。そのため、とりわけトラック労働者の人手不足は深刻化しています。物流を担い日本の産業を支えているトラック運転手の待遇を改善し、交通運輸業界全体の改善を目指し、交通運輸の産業別労働組合を建設する目的から、労評トール広島分会がその一翼を担っていくことが確認されました。

労評トール広島分会の要求

労評トール広島分会の労働者の立ち上がりは、歩合給(賃金対象額)から残業代を差し引かれ、いくら長時間働いてもほとんど収入が増えないという、長時間・低賃金労働を強いられていることに対する労働者の闘いです。この点に関しては、歩合給から残業代を差し引くことは労働基準法37条の趣旨に違反する不法な搾取であり、過去2年間にさかのぼって残業代を全額支払え、また今後、歩合給から残業代を差し引くな!という要求を掲げています。

結成時に集まったトールの労働者からは、「今の賃金体系では生活するのが厳しい。うちの会社に限らず、この業界で働く人は同じ。口火を切って、頑張りたい」「自分たちの労働条件を他の人にも誇れるようにしていきたい」「やっと会社に一言、もの申せることがうれしい。勝つ、負けるではなく、黙っているのでなく意見を言える、姿勢を見せれる、というのがうれしい」等の意欲的な決意表明がありました。

トールエクスプレスジャパン 広島で新分会結成される

2016-05-30

本日、分会結成を会社に通知する

5月30日、以下の内容の要求書を大阪の本社に提出し、団体交渉を申し込みます。

要求書の内容

一、賃金対象額から差し引いた時間外手当分の賃金の支払いについて

貴社では賃金対象額から時間外手当(残業代)を差し引いた残りを能率給として支給しています。これは労働基準法37条の趣旨に反する違法行為です。

したがって、

①2014年6月度給与から2016年5月度給与までの間の、賃金対象額から差しい引いた時間外手当を全額支払うこと。

②2016年6月度給与からは、賃金対象額から時間外手当を差し引かずに賃金を支払うこと。

二、今後の労使関係について

①労使関係における会社側窓口を設置すること。

②貴社広島支店の会議室を組合活動のために使用することを許可すること。

 

トールエクスプレスジャパンで労働組合を結成した背景には、会社の残業代未払い問題あります。トールでは給与明細には形式的に時間外手当は支給されています。しかし、その時間外手当分が賃金対象額から差し引かれています。このように差し引くことが違法なので、2年かにさかのぼって全額支払うこと、及び今後賃金対象額から時間外手当を差し引かないようと要求しました。もちろん、広島だけでなく、全国のトールエクスプレスジャパンで働く労働者に共通した問題です。労評が皆さんに配布するビラを転載しますので、ぜひこれを読んで連絡をして下さい。

 

労評トールエクスプレスジャパン広島分会結成なる

                                   労評大阪府本・労評トール広島分会

 

トールエクスプレスジャパン広島支店において5月22日に労評(日本労働評議会)トール広島分会が結成されました。簡潔に言えば、トールでは歩合給(賃金対象額)から残業代を差し引かれ、いくら長時間働いてもほとんど収入が増えないという、長時間・低賃金労働を強いられていることに対する労働者の闘いです。この点に関しては、歩合給から残業代を差し引くことは労働基準法37条の趣旨に違反する不法な搾取であり、過去2年間にさかのぼって残業代を全額支払え、また今後、歩合給から残業代を差し引くな!という要求を掲げて結成しました。このように労働組合の労働者独自の権利を守る闘いのために、トール広島支店の労働者は労評に加盟し、労働組合結成という方法を用いて挑みました。現在ある、トールの企業内組合は残業代未払い問題に対し、何ら取り組もうとしていない状況です。

交通運輸産業で働く労働者全体の労働問題

今、日本の社会・経済の状況は、アベノミクスの三本の矢は折れ、金融緩和政策等は成し得ず、金融機関、大企業、機関投資家、個人投資家等、一部の者だけが株、債券などで利益を得ています。大企業には大きな利益をもたらしたが、その得た利益を内部留保としてさらにため込み、そのために内需は拡大できず消費は冷え込み、実体経済はデフレから脱却することができない状況です。資本の利潤の内部留保により、大企業は膨大な利益を上げているにもかかわらず、労働者の賃金に反映されず労働者には低賃金と過重労働が強いられています。これは日本の物流を担う運輸業界においても同様です。現在、深刻なトラックドライバー不足が問題となっています。それは交通運輸業界においても個別の事業所、企業の枠を超えて、交通運輸資本の労働者への低賃金政策、過酷な長時間労働や過重労働が全国ほぼ一律に行われているからです。だからこそ労働者が個別企業、個別事業所等の枠を超えて総団結し、労働者全体の生活、利益の改革のための闘いに起ち上がることが今、切に求められています。

交通運輸労働者の総団結を目指して

トールの支店所在地は関東から九州に至ります。重要なこととして、このたび労働組合を結成した広島支店の労働者の願いは、労働者が団結し、連帯し、そして交通・運輸業の産業別労働組合を創りたいということであり、自分達の闘いは自分達だけの闘いではなく、トールエクスプレスジャパン全体の労働者の闘い、さらに同業種他社の労働者総体の闘いの一部としても考えています。この闘いの経過と過程、そして現状と今後について集会、および説明会を催しますので、ぜひこぞってのご参加を希望します。各支店の最寄りの労評地区本部にご連絡をください。また、労評弁護団顧問である暁法律事務所においても相談受付けをしております。

集会にあっては、労評トール広島分会の呼びかけのもと、全国の支店の労働者を結集して、交通運輸労働者の産業別労働組合を目指す大集会をいずれ開きたいと思っています。小さな集いは各支店の最寄りの労評地区本部にて開催していきたいと思います。いずれも自らの労働者としての明日の生活の改革に向かって闘い、そのためにも労働組合を武器とすることが必要です。トール広島支店の労働者の起ち上がりは一点の小さな火花にとどまらず、交通運輸単産建設に向かっていたるところに闘いの烽火を上げることになるでしょう。一人が万人のために、万人が一人のために、こぞってトール労働者の総団結を目指して起ち上がりましょう。

闘いは容易なものではないですが、その困難の先には労働者の利益を守る新しい道が拓けるでしょう。是非、心底よりご一報をお待ちしております。

詳しくは労評(日本労働評議会)のホームページhttps://www.rouhyo.org/をご覧ください。

<連絡先>

労評(日本労働評議会)大阪府本部

   大阪府東大阪市西鴻池町2丁目2-10

TEL 0671744523  Email rohyo-osaka@kansai.zaq.jp

労評(日本労働評議会)本部 ホームページ:https://www.rouhyo.org/

東京都新宿区高田馬場3-13-3 高田馬場ファミリービル4F404

  TEL 03-3371-0589  FAX 03-6908-9194 メールはホームページから

暁法律事務所(労評顧問) ホームページ:http://www.ak-law.org/

  東京都新宿区高田馬場4丁目28番19号 きりしまビル4階

  TEL 03-6427-5902 FAX 03-6427-5903 メールはホームページから

暁法律事務所は「法を尊び、法に頼らず」の精神のもと、労評とともに、徹底して労働者の権利を守る法律事務所です。労働者の声に耳を傾け、労働者と討議し、労働者と共に勝利を目指しつつ、勝敗を別にしても道理を貫いて戦い抜きます。今回、トール広島支店の労働者から相談を受け、トールの賃金規則の問題点を明らかにし、労評分会結成を支援してきました。今後、訴訟を通じた解決が必要になれば、全面的に支援します。

国際自動車に未払い賃金支払いを命じる判決 

2015-01-29

国際自動車の労働者14人が残業代にあたる金額支払われていないことを訴えていた裁判(東京地裁)で、1月28日に判決が下りました。会社に1457万円を支払えとの判決は、同業他社にも大きく影響してくるでしょう。タクシーやハイヤーなどの業務は長時間労働であり、時間外労働や深夜労働などは当然のように行われていますが、国際自動車は「時間外労働をすれば売り上げが上がって歩合給である賃金が増加数るから労基法の趣旨に違反しない。」と言っていましたが、これは会社の勝手な論理であり、今回の判決ははっきりと「公序良俗に反する」として無効を告げました。

この事件を担当してきたのは、労評顧問弁護士の指宿昭一弁護士ですが、次のようにコメントしています。「今回の裁判所の判断によって、これまで同じ業界で国際自動車と同様の賃金支払いをしてきたところは賃金に支払い方を変更せざるを得なくなり、労働に対する正当な賃金支払いに変わっていくことを望んでいる。」

労評では日の丸リムジン分会を旗揚げしたばかりですが、この国際自動車と同様、賃金支払いの違法性を裁判で争っており、追い風となるでしょう。日の丸リムジンでは、組合を作るまで会社は賃金制度の説明をきちんとしてきませんでした。組合との団体交渉を通して、会社は売り上げに対する一定の割合とする完全歩合給との説明をしてきましたが、残業代がいくらなのか不明で、賃金明細に書かれてあることも実際には単なるすり合わせた数字であることもはっきりするなど、非常に不透明なものです。今回の国際自動車の判決を研究しながら、日の丸リムジンの賃金体系の是正もぜひ取り組んでいきたいと思います。

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