日本ヒューレット・パッカード社で情宣活動
WFR(人員再配置・リストラ策)の対象になっても諦めず、組合に加入して権利を守りましょう
8月5日、日本ヒューレット・パッカード社の本社(江東区)で情宣活動を行いました。そのビラを転載します。
日本の大企業は史上最高の内部留保を貯めこんでいます。しかし、労働者の実質賃金はこの4年間下がり続けています。非正規労働者の割合もジリジリと増え続け、40%に迫っています。「格差社会」の現実感はより強まっています。転職もままならない時代の中で、自らの意思に反して職場を追われることは、労働者にとって死活問題になります。
日本HPで働く皆さん。私たちは日本労働評議会(略称労評)と言います。7年以上前から日本HP社とは裁判や団体交渉をしながら、日本HP社に勤務する組合員の解雇事件や待遇をめぐって組合活動をしてきました。この度、2年以上の時間をかけて団体交渉を重ね、一旦WFR(人員配置プログラム)でジョブレベルを落とされた組合員の地位と賃金を取りもどすことができました。この経緯を報告するとともに、「定年まで働ける自由」を獲得するために今後も組合活動をしていきますが、皆さんも自らの意思に反して退職を強要されない権利を守るために、ぜひ私たちの声に耳を傾けていただくよう訴えます。
毎回繰り返されるリストラ策の現状
日本HPでは定期的に行われるWFR(人員再配置プログラム)によって、そのターゲットになった中高年労働者は大半が退職していきます。いくら実績を残しても、業務状況が水準に達していても、日本HP社はアメリカ本社の指令によってノルマをこなす為に、労働者に退職勧奨を開始します。諾否の自由はあるとはいえ、退職勧奨は強引であり、最後まで抵抗し会社に残留することを告げた労働者には必ずと言っていいほど、ジョブレベルを下げた職場に配置し、1年後から賃金も引き下げられる措置が取られます。まるでWFRに応じなかった報復とばかりの配置がされます。
日本HPで働いていたから転職は有利だとか、日本HPのブランド力は大きいとか、会社の上司は言いますが、実際にはなかなか転職先が見つからず、不本意な職場で大幅に賃金を減額して生活せざるを得ない労働者も数多くいます。
ジョブレベルと賃金を取り戻した経緯
私たち労評の組合員もこのWFRの対象となりました。会社は労働者をコスト削減の対象としてしか考えません。懸命に仕事をして評価が平均以上であっても、定年まで働くという人生設計を描いていても、コスト削減の名目で切り捨てます。組合員は人間を物扱いするリストラ策に応じることはできないと考え、組合は職場を確保するよう求めました。会社は職場は確保しましたが、大阪から東京へ、しかもジョブレベルは一段下げられました。転勤は良いとしてもジョブレベルの引き下げは納得がいかないと宣言したうえで、新たな職場に異動しました。そこから何回も団体交渉を重ねました。ジョブレベルを勝手に下げ、賃金も下げたことを撤回するように申し入れました。もし決裂したら裁判を起こそうと考えていました。
労評は顧問弁護士に出席を依頼し、日本HP社の労務政策が日本の労働法制から見て適法性に疑問があることや、本人の同意なく賃金の切下げはできないという労契法の条項をクリアできていないことなどを論議してきました。会社は法的判断は避けましたが、ご本人(組合員)の努力と姿勢を評価してジョブレベルを元に戻し職場配置も変更すると回答してきました。
退職勧奨にあっても諦めず労評に相談して下さい
今回の交渉では、会社が組合員のジョブレベルを下げたことを違法と認めたわけではありません。しかし、強引に進めて裁判で争うことまではしたくなかったという意図が働いていると思います。労働者の労働条件は労使交渉で決めるべきものです。労評は労働者の要求を実現するために、不当と思われることは会社と交渉して撤回させます。皆さんが悩んでいたり、相談したいと思ったことがあったら、ぜひその意見を聞かせて下さい。一緒に解決の道を探りましょう。
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