【筑波大学分会】筑波大学、またもや団交拒否
昨年9月に公開した記事で、筑波大学が、A分会員(教員)がB教員とC教員から受けている不当なパワハラに関して再三の団交拒否を行ったことを報告しました。
そこで書かれているように、筑波大学は、ハラスメント相談センターの存在や、既にA分会員が同センターに相談を行い、ハラスメント防止対策委員会による調査等が行われていることなどを理由に、度重なる団体交渉拒否を行ってきました。
その後、A分会員は、大学から同年11月8日付で「ハラスメント苦情相談事案にかかる調査結果について」と題する通知(以下、「調査結果」と言います。)を受け取り、これに対し同年11月21日付で不服申立てを行ったところ、これに対しても再調査を実施しない旨の通知(同年12月21日付。以下、「再調査不実施通知」と言います。)を受け取りました。
これらの調査結果、及び再調査不実施通知は、A分会員によるハラスメント相談センターへの相談、及び調査結果に対する不服申立書が述べるところに何ら答えるところのない、極めて不当(※注)なものでした。
このことを受け、労評筑波大分会は、大学に対し、A分会員に対するハラスメントに関して、再度、団体交渉申入れを行いました。
既に、ハラスメント相談センターへの相談に基づく手続きが、事案の適切な解決に全く寄与しなかったことは明らかになっているわけですから、去年のように拒否することはできないはずです。
ところが大学の回答は、「ハラスメント防止対策委員会筑波キャンパス部会に置かれる調査委員会は、(略)中立・公平な立場で調査を行い、その結果を部会に報告するものです。」「本件ハラスメントについての部会における判断は本学における最終的な判断となります。」などという、全く不可解なものでした。
これに対し、労評から「団体交渉に応じないという回答と理解しています。違うのであればご回答ください。」と返すと、大学はほぼ全く同じ回答でもって答えてきました。
大学は自分から団交拒否を行っているとは認めたくないようですが、拒否しているとしか受け取りようのない答えです。
大学側の論理に従えば、使用者側がハラスメント相談に関する制度を設けて形式的に調査・判断を行い、それが最終判断だと宣言すれば、労働組合がハラスメントに関して適切な解決を求めて使用者に団体交渉を求めても、拒否できることになります。
当然、こんな非常識な「判断」がまかり通っていては、憲法第28条が労働組合に団体交渉権を認め、不当労働行為として団体交渉拒否を禁じた(労働組合法7条2号)ことの意味も全くなくなります。
大学当局のこのような対応は、労働組合の団体交渉権を保障する日本国憲法第28条に反するものであり、不当労働行為を禁止した労働組合法7条2号に反する違法行為です。
前回の記事にも書いたように、真理探究の府であるべき大学で、このような憲法違反及び労働組合法違反の行為が繰り返されていることは、非常に危険であり、許しがたいことです。
筑波大学だけでなく、全国的に多くの大学で、専制的・独裁的体制の下、大学の自治が崩壊し、無法が繰り返されています。
大学自治を取り戻すためにも、この問題を不問に付するわけにはいきません。
※注
調査結果及び再調査不実施通知の内容は、おおよそ以下のようなものでした。これは、筑波大学におけるハラスメント苦情相談手続きが形ばかりのものであり、問題解決に寄与することのないことを表すものであると言えます。
(1)調査結果は、A分会員が指摘した重大な法令違反が疑われる問題に関して、その問題について裏付ける証拠は確認できなかったとして、指摘を受けた側の言い訳を全面的に採用しました。これに対しA分会員は、その問題の存在を裏付ける多数の新しい証拠を提出して不服申立てを行いました。にもかかわらず、再調査不実施通知は、「再調査を実施しない」と判断し、「本件の事実に関する新たな証拠は確認できない」とだけ述べ、A分会員の提出した証拠を無視し、その理由も一切述べませんでした。
(2)調査結果は、B教員(第一の加害者)が会議の席上でA分会員を叱責した発言は、A分会員が「独自の解釈による内容をメールで送信した行為を問題視して、当該行為をやめるよう求めるものと考えられ、規律保持の観点からなされたものと認めるのが相当」であると述べています。これに対しA分会員は不服申立書で、そもそもB教員自身がA分会員の主張を認めたと解される行動に出ていること、自らの行為は何ら規律違反や独自の主張と言えるようなものはないことを具体的に指摘しました。しかし再調査不実施通知は、この点を全く考慮しませんでした。
(3)A分会員は、本件の問題を指摘するに際しある表現を使ったことに対し、C教員がそれを不正確に引用した上で「品位が疑われることになりかねません」と人格攻撃を行ったと主張しました。これに対し調査結果は、C教員がA分会員の用いた表現を不正確に引用したことが人格攻撃に当たるかどうかを主要な問題であるかのように論点をずらし、人格攻撃には当たらないと判断しました。しかし問題の本質はA分会員が本件の問題について用いた正当な表現に対し、多数を宛先にした同報メールにおいて「品位が疑われることになりかねません」と人格攻撃を行ったことにあると、A分会員の不服申立書は指摘しています。再調査不実施通知は、この点も全く考慮していません。
(4)A分会員は、C教員が「本件に関するメールその他の記録一切」を提出するようA分会員に強要したと主張しました。調査結果は「強要したとは認められ」ない、「事実関係精査のため必要である」等から、「事案の解決のために必要な対応」であり「不当なものではなかった」、そもそも業務上のメールを「業務上の監督権限を有する者が見ること自体は、私信の提供を求めたものと異なって全く違法なものではなく、提出に際して発信者の承諾が必要であるとの貴殿の説明は、メールを提出しない理由として成り立」たない、等と述べています。しかし、C教員は、本件においてA分会員の指摘する違法・違反等の疑いがある行為(これには被害者D教員がおり、A分会員が提出を求められたメールはA分会員と被害者のD教員とのやり取りの一式であった)を行った当事者であり、かつA分会員に対するハラスメント行為の加害者です。そうである以上、D教員の承諾なくしてメールの提出をすることはできない(実際、D教員はC教員にだけは提出しないでほしいと述べています)し、また、A分会員がメール提出を拒絶することには正当な理由があるというべきです。にもかかわらず、C教員は、A分会員に対してC教員の被害者であるD教員のメール資料一式を提出するよう再三要求しました。これは、A分会員に対して良心に反する行為を強制することにほかなりません。不服申立書は以上のように主張しましたが、再調査不実施通知は、この点にも全く答えませんでした。