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都労委 凸版印刷命令7月26日に下る

2017-07-19

凸版印刷の団交拒否に鉄槌が下る

7月26日、都労委で労評が申立てている不当労働行為救済申立てに対する命令が出される。労評としては救済命令が出されると確信している。凸版印刷に団体交渉の申し入れを行って、はや1年と4か月、理由もなく団交拒否を続けてきた凸版印刷にどのような正義もない。番町綜合法律事務所の河本弁護士らと結託して、正当な組合活動を弾圧してきた凸版印刷はこの都労委命令を契機に、違法行為を行ってきたことの責任を問われることになるであろう。

凸版印刷の違法行為の責任を今後徹底して追及する

命令が確定した段階で、改めて報告するが、大企業である凸版印刷が団交拒否という最も犯してはいけない初歩的な段階での違法行為を行って平然とすることは許されない。労評はどのような上場企業であれ、名の通った企業でこれまで団交拒否をされた経験はない。これも番町綜合法律事務所の河本弁護士らが指南したことは想像に難くないところであるが、大企業である凸版印刷がこのような弁護士の手法に軽々と乗せられるとは零細企業並みのコンプライアンスである。

いずれにしても、この都労委命令を機に労評は全面的に凸版印刷の社会的責任を問う行動に起ち上がるであろう。

7月4日付でネギシ・マタハラ事件の上告棄却・上告不受理を決定。妊娠中の女性に対する解雇を認容する不当決定である!

2017-07-18

去る7月4日付で、最高裁は、ネギシ・マタハラ事件の上告を棄却しました。3月4日に「上告申立理由書」を提出してからわずか4カ月での決定でした。この決定は、妊娠中の女性労働者に対する解雇を容認する不当決定であり、均等法9条4項を有名無実化するものです。

 

均等法9条4項の存在意義はどこに?        

均等法9条4項「妊娠中・産後1年以内の解雇は「妊娠・出産等による解雇ではないことを事業主が証明しない限り無効となる」 が2006年新設された背景には、妊娠中の解雇が横行していたからです。妊娠しても解雇の心配をせず、女性が、安心して働き、子育てができる環境を作るための法的整備でした。
この法律の特徴は、ひとつには期間を定めて解雇を禁止していること。当該期間内の解雇を強く禁止しているということです。
これは労働基準法19条「業務上災害による休業期間とその後30日間もしくは産前産後休業期間とその後日間の解雇禁止」についても同じです。

もうひとつは、「解雇を無効とする法律効果が与えられているものを覆す立証が求められている。」つまり、労働契約法16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」の適用場面よりも一層高い立証が求められているということです。均等法9条4項は、違法な解雇が行われない「抑止力」として新設されたのです。
ところが、最高裁は、わずか4か月という速さで上告棄却を決定しました。
一審ですら、解雇には当たらないとした事案に対し、二審では、会社が従業員を総動員して作ったシナリオを鵜呑みにし、均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、形式的に上告人Aさんの解雇を有効とし、マタハラ解雇ではないという判決を出したのです。そして同じように最高裁も均等法9条4項の存在意義を考えることもなく、それを追認したのです。このままでは、均等法9条4項が新設された意味がありません。
労評では、今回3月31日の最高裁上告報告集会を皮切りに、署名活動等の取り組みを行いましたが、これからという時点で、棄却されてしまいました。

 

司法の反動化を許さず、継続して妊娠中の女性労働者を守り、解雇禁止の法律を定着させよう!

しかし、労評はこのような司法の反動化を許すことなく、これからも継続して女性労働者が安心して働ける職場を目指し、職場で、街頭で運動を進めていきます。上告人Aさんも最高裁の決定があった後も、「自分の問題をきっかけに、マタハラについて考えてもらいたい」と運動を続けていく気持ちをしっかりと持っています。署名活動にご協力をいただいた方々、ありがとうございました。またこの問題に注目していただいた方々、これからも労評より発信を続けていきます。よろしくお願いします。

鹿島臨海産業のパワハラ問題 その2

2017-07-07

栄養士の資格と経験を活かすため入社

鹿島臨海産業株式会社に社員として勤務している主婦でもあるAさんは、二人の子供の子育てと両立し、大手通信会社の優秀な派遣社員として長年勤務していました。しかし「栄養士の資格と経験を仕事で活かしたい」と思い、約3年前にハローワークネット求人で鹿島臨海産業の「栄養士」の求人募集を見て、一大決心で思いっきって転職しましたが…

 

怒鳴りちらす社長、不衛生な環境、仕事の引継ぎもなく

しかし、入社してみるとそこには予想もしなかった衝撃的な光景が多々ありました。社長はよく大きな声で従業員を怒鳴り、叱責していました。時には新人社員が1,2時間立ったまま社長から説教されている姿も見かけました。いてしまう新人女子社員に向かって「わしはパワハラやが、泣くのはセクハラや」と怒鳴っていたそうです

そして食品を扱う工場であるにも関わらず、衛生環境も決して良い状態とは言えませんでした。一部の従業員は仕事に追われ、エアシャワーを通らず、裏口から工場に入ることが黙認されていました。また常に求人募集をしてるため、人の出入りが多く、気付くと知らない人が工場や社員食堂で働いていたりします。本来、食品を扱う作業者は保菌検査(検便)が義務づけられていますが、面接の時点で「すぐに来てほしい。」と言われ、翌日から仕事に入る人もいました。

そしてAさんの前任の栄養士はAさんの入社と入れ替わりで退職してしまい、仕事の引継ぎはほとんどありませんでした。また会社にはタイムカードもなく、不払い残業があること、新しく人が入っても社長のパワハラで次々人が辞めていくなどの衝撃の事実を入社して間もなく同僚から聞かされて知りました。

 

仕事内容は「わしも何もわからず一人で行ったんや!」

そしてAさんは「栄養士」として入社したにも関わらず、いわゆる「栄養の指導に従事する」ような栄養士らしい仕事をすることはありませんでした。お弁当や社員食堂、社員寮の一日3000食前後もある献立作成などの一般的な栄養士の業務は、栄養士や調理師の資格のない社長と社長の奥さんが担っていました。そして社長は「栄養士は献立など立てる必要はない。管理表(献立表)も見なくて良い。栄養士は渉外活動だけやっていればいい」と言い、栄養士は食材の発注業務などの渉外担当を任されていました。しかも客先を回る頻度も入社時の「週2箇所」が、入社1か月後位には「一日2箇所」に変更されました。その上、会社と客先との関係性や、具体的に何をしに行くのかなどの業務内容について何も教えてもらえませんでした。

次々と人が入れ替わるため、周囲に聞いても誰もやり方を知らず、社長に聞くよう言われました。しかし社長に聞いても「わしも何もわからず一人で行ったんや!」などと言われるのみで、暗闇の中を手探りで仕事をする日々が続きました。他にも客先の宴会、イベントの見積もりなど未経験の仕事を色々任されました。顧客から「担当者がすぐ辞めてしまい引継ぎもしないで代わるので、毎年同じことを説明しなければならない」と批判、指摘を受けるほどでした。

そして社長は何度もAさんに「管理表(献立表)は見る必要ない」と言い、別の業務をやらせていたにも関わらず、数か月後には、突然「管理表(献立表)の見方もわからないのか!」とAさんを叱責しました。

 

新しく入ってもどんどん辞める労働者

そのような社長の態度に付いていける人がそう多くいるわけもなく、Aさんが入社した翌年には栄養士、管理栄養士を含む8名が新規に採用されましたが、そのうち、直接社長と関わりのある5名は、1年以内に退職していきました。中には入社して1日~1週間程度で退職していく人もいました。そして、ついに社長のパワハラの矛先がAさんに向かってきたのです。Aさんの受けた退職勧奨(パワハラ)については次号に掲載します。

 

※パワハラとは:「パワハラ」とは、「パワーハラスメント」の略で厚生労働省「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html)パワハラ行為を行った上司は、不法行為責任(民法709条)を負います。また、会社ぐるみでやっていたり、パワハラ上司への指導をきちんとしていなかった場合には、会社自体が法的責任を負います。

 

 

アート引越センターの違法行為の数々

2017-07-01

労評残業代を請求する会で団体交渉

クロネコヤマトの残業代未払い問題を始め、運輸業界の不法行為が明るみに出ていますが、引越し業界で2位と言われるアート引越センター(アートコーポレーション(株)本社大阪)では、驚くべき違法・脱法行為が行われてきました。労評は横浜市のある支店を退職した労働者達が加盟して、会社に対して残業代請求の交渉を行っています。その交渉は3回目になろうとしていますが、明らかになった数々の違法・脱法行為の紹介をします。

1.事故の賠償金をあらかじめ天引きしていた

アート引越センター(以下、アートと言います)は「引越事故賠償制度」を作り、毎月数万円の賠償金を賃金から天引きしていました。ご存じのように賃金から天引きをして良いものは税金や社会保険料などに限られており、本人との書面での合意を交わした場合のみ天引き可能です。アートは労働者から同意書も取らずに勝手に差し引いていたので、返還しなければなりません。アートはこれを認めて組合員に対して25万~38万の返還をすると述べています。しかし、これは2年間の天引きした分であり、アートの行ってきた不法行為は不当利得にあたるので、2年間に限定されるものではなく、10年間の請求が可能です。

アートは天引きした賠償金を返還する代わりに、組合員に対して事故賠償請求をしてきました。その請求金額はアートが返還するとした金額をはるかに上回る金額でした。アートの請求根拠は引越事故賠償制度にあると主張しますが、この制度自体、労評は無効と考えています。引越し業務に従事する労働者は顧客の家具や調度品を傷つけないように運搬しますが、スタッフには慣れないアルバイトや派遣労働者もおり、それらの労働者がミスを犯した場合も社員がその賠償責任を負うシステムになっています。一定の比率で顧客への損害賠償が生じるのが引越し業界の特徴であり、経営側はそのリスクを前提に労働者を雇用し、収益を上げるわけですから、労働者に重大な過失責任がある場合を除いて、労働者に損害賠償を請求することは非常識なことだと考えます。

2.労働時間を操作していたことを認める

組合員達はアート引越センターに勤務していた頃、長時間働いた割には残業代が少ないことを感じていました。アートではタイムカードではなく、電子式の出退勤の打刻をして、会社が集中管理しています。会社は組合員らの労働時間を操作したことを認めました。残業時間が多くならないように、主に退社時間を操作し、残業時間を削っていたのです。会社の説明では削った残業代は別の名目の手当で支払っていると述べていますが、それが正確な残業時間分かどうかは今のところ確認のしようがありません。

3.交通費を支払っていなかった

組合員らは誰も交通費を支給されていませんでした。勿論就業規則には交通費の支給が明記されています。団体交渉の席で、会社は請求がなかったから支給していなかったと述べました。会社は交通費を支給することを組合員らに告げなかったので、もらえることを知らなかったのです。アートのような大企業で交通費の支給をしていないという事実は驚くべきことです。

4.携帯電話代も自己負担

引越し業務は作業中も顧客や会社と連絡を頻繁にします。アートは社用の携帯電話を準備せず、組合員らは自分の携帯で仕事に使っているか、仕事用に別の携帯電話を購入して使用していました。当然にも会社が負担すべき費用です。これも大企業とは思えない杜撰さです。

5.組合に加入した覚えがないのに組合費を天引きされていた

組合員らは組合費の名目で毎月1000円天引きされていました。しかし、アートに労働組合があることも知らず、組合に加入した覚えもありません。アートの労働組合など幽霊団体のようなものです。これも会社にチェックオフ協定を提出することを要求しています。もし偽造したチェックオフ協定の下で組合員らの賃金から天引きしたのであれば悪質な不法行為です。

以上のように、業界第2位といわれるアート引越センターはその中身は零細企業のような有様です。すでに大阪本社には労基署の調査と指導が入っているようで、一面的に残業の規制を始めているので、残業で生活している労働者は、これでは食っていけないと次々と退職しています。

労評残業代請求する会は社内の労働者に働きかけ、現有の労働者による労働組合建設を目指します。会社の中から改革の火の手をあげていき、会社の制度、体質を改革していきたいと思います。

ネギシ・マタハラ事件について、公正な審理を求めます!

2017-06-27

ネギシ・マタハラ事件(事件内容はこちら)について、
特設ページとネット署名ページが開設されました。

ネギシ・マタハラ事件特設ページ

ネギシ・マタハラ事件ネット署名ページ

ネギシ・マタハラ事件は、妊娠を理由とする解雇の無効を争っている事件です。現在、最高裁に上告中です。

男女雇用機会均等法9条4項に対する初めての最高裁の判断になるかもしれません。

解雇無効を勝ち取り、さらに女性が安心して働ける職場の実現のためぜひご支援よろしくお願い致します。

マタハラで不利益を受けた労働者の多くは、泣き寝入りせざるをえない状況におかれています。

日本の労働組合は十分な支援を行ってきたとはいえないでしょう。

私たち労働組合がマタハラの相談を受け、積極的にこの問題に取り組んでいく必要があります。

使用者との交渉により解決が出来ない場合は、弁護士を紹介し、裁判を支援することも検討すべきです。

また、マタハラが許されないことであることを使用者に伝え、さらに、社会に訴えていく活動も必要です。

外国人労働問題についても同じことが言えます。この裁判が、妊娠を理由とする解雇が許されないことを企業に知らせ、

また、マタハラ解雇の被害者が声を上げるきっかけになればと思います。

鹿島臨海産業のパワハラ問題

2017-06-12

鹿島臨海産業(株)の交渉経緯について

お弁当工場のパワハラ社長、女性栄養士への減給の取消!

2016年12月20日に鹿島臨海産業株式会社に勤める栄養士の女性Aさんが労評に加盟し、会社と団体交渉を行い、不当な懲戒処分(減給)を撤回させました。

HACCP取得 しかし実態はタイムカードもなく

鹿島臨海産業株式会社とは、茨城県の神栖市にある約130名規模の会社で、本社工場である砂山食品工場では、鹿島コンビナート内の大手企業の社員食堂、日配弁当、各種パーティ宴会料理などの給食宅配をしています。HACCP(安全性の向上と品質管理の徹底を促進するための法律で、基準を満たした工場は、施設の整備に対する金融支援等を受けられます)を取得している中堅企業です。しかしその実態は、社長のパワハラ体質により人が入ってもすぐに辞めていき、管理職もころころ変わり、慢性的な人手不足から衛生管理もずさんであり、さらにタイムカードなど時間管理をするものがなく、勤務時間はシフト表に手書きで記入しています。休暇、早退、遅刻、残業を申請するための専用用紙はありますが、有給休暇は、1週間前までの申請でないと認められず、残業申請も事後申請は認められません。さらに残業するものは「能力不足」だと言われ、残業代はほとんどの場合が支払ってもらえず、サービス残業も横行しています。

社労士の非弁行為を許さない!

団体交渉によってAさんへの不当な減給は撤回させることができました。しかし団体交渉には社長は出席せず、数カ月前に入社したばかりの社長の友人2名と会社の業務内容などを知らない社労士1名が出席し、組合側からの質問に対する回答はほとんど社労士が行いました。現在、社労士の非弁行為として懲戒請求を行っています。

※非弁行為とは:弁護士法72条は弁護士資格を有しない者(非弁護士)による法律事務の取扱いを禁止していますが、このような社労士の行為も非弁行為にあたる強い疑いがあります。この条文に違反した者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる(弁護士法77条3号)。

パワハラをやめさせよう!

そしてAさんが不当な懲戒処分を受けるに至った原因である社長によるパワハラは現在も続いています。次回からは、鹿島臨海産業で横行する社長のパワハラや不正行為について連載します。

グローバル分会活動報告

2017-06-03

グローバル分会 組合結成

2016年7月26日、千葉県松戸市中心に5工場、約60店舗(結成当時は4工場約50店舗)を展開するクリーニング会社、有限会社グローバルの工場労働者によって労働組合「労評グローバル分会」が結成されました。冷房設備がなく、夏は50度にもなるガラス張りの工場の暑熱対策、残業代は「売上げが少ないから」等の理由で繁忙期の1~2ヶ月間にしか支払われない、有給休暇はマネージャーの許可がないと申請用紙すら受け取ることができない、103万枠希望で入社したパートが人手不足からそれ以上働かざるを得ない現状などを打開しようと、2工場の社員と1工場のパートが労評のもとに集まり、組合を結成し、会社に団体交渉を申し入れました。

第一回団体交渉開催!

同年8月19日、松戸市内のホテル会議室で第一回団体交渉が開催されました。社長は出席しませんでした、会社役員と弁護士2名初め会社側は6名が出席しました。暑熱対策については、すでに熱中症で倒れる労働者が相次ぐ中、早急の対処を求めたところ、3階の休憩室の窓にロールカーテンが設置され、工場内の熱い排気の出る排熱ダクトを延長し室外に出すことと、暑熱対策として日よけを設置することを約束し、有給休暇の申請については今後は拒否をしないこと、そしてこれまで誰も存在を知らなかった就業規則も周知徹底させることなどを会社は約束しました。

労働組合を作って労働者が安心して長く働ける職場に

グローバル社では、これまで多くの労働者が労働条件の悪さ、職場環境のあまりの悪さに我慢の限界を超え、退職していきました。そして残った労働者の負担が増える状況が続いてきました。また組合員はこれまで個人的に異議を申立てたこともありましたが、何度言ってもマネージャーから却下され続けてきました。しかし今回、労働者が団結し労働組合という組織を作って会社と交渉したところ、ついに職場改善に向けて会社が動き出しました。

 

< 快適な職場環境の形成について >

50度にもなる職場、耐えがたいものです。何か法律的に経営者を罰することはできないのでしょうか。厚生労働省は「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」というものを示しています。以下のアドレスから内容を閲覧することができます。

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo11_1.html

 

 施設利用と36協定締結をめぐる攻防

グローバル分会では組合立ち上げ2ヶ月後の9月にはA工場とB工場のパートが組合に加盟し、2工場で過半数組合となりました。103万枠を希望して入社したパートはその枠を守れるようになり、会社は人手不足対策としてパートの時給を60円アップし、さらに足りないところは派遣社員も導入しました。暑熱対策として冷房設備の設置も会社は約束し、会社は組合に対して誠実に対応し、交渉は順調に進んでいるように見えました。しかしその一方で会社は組合の施設利用だけは認めようとしませんでした。

 突然の「中2日」会社の反撃

そんな時、事件は起きました。10月28日第3回団体交渉で、組合側が36協定を締結する交換条件として組合の施設利用を要求したところ、なんと会社は翌日に「中2日の翌12時渡し」にするという顧客向け掲示物を全ての店舗に配布したのです。要は、施設利用を認めるくらいなら即日仕上げを辞めて客を減らした方がましだ、という意思表示です。その上、その変更を組合員を始め現場労働者には一切伝えなかったのです。そして店舗店長から多くの不安の声や問い合わせが組合員に寄せられたため、配送の組合員が事実を説明するビラを配布したところ、マネージャーはその組合員に対して「始末書」を書かせたのです。

組合員の切り崩し策動とパートの脱退

会社の組合デマ宣伝と「中2日」によって売り上げの下がった店舗店長の不満が結びついたことから、一部の管理職、店舗店長による組合切り崩し策動が起こりました。工場前でのビラ配布、電話がけによって、パート組合員に組合を辞めるよう説得してきました。パート組合員自身も中2日によって収入が2割減ったこと、また組合立ち上げ以降、マネージャー以上の管理職が工場を一切訪れなくなり、情報が途絶えたこと、そして組合会議も定例化できていなかったことから不安が動揺に変わり、2工場のパート組合員の脱退へと至りました。そんな中、本部と組合執行部は状況を打開するため、討議を重ね、会社の不当労働行為を労働委員会に申し立て、また会社側の36協定締結を拒否し1日8時間労働を要求していたC工場のパート組合員と結びつき、C工場での過半数組合が誕生しました。

 

<36協定について>

労働者の労働時間は1日8時間と定められています。それを超えて残業させるためには会社と過半数組合もしくは従業員代表と36協定を締結する必要があります。以下のアドレスは、36協定に関する厚生労働省のページです。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf

 

 労働委員会申立と36協定の締結

2016年2月9日、第一回労働委員会の日に36協定は無事締結され、即日仕上げが再開しました。過半数組合となったC工場では、念願のパート8時間勤務を実現させました。労働委員会では➀店舗に組合ビラを配布したことで組合員に始末書を書かせたこと②会社が組合の施設利用を認めないこと③社長が団体交渉に出席しないことの3点について申立を行いました。結果が出るのは少し時間がかかりますが、健全な労使関係、安定した組合活動を築くために証拠資料と答弁を積み重ねていきます。

 

パート組合員の参加で活気づく団体交渉

C工場のパートが組合に加入したことにより、団体交渉にも活気が出てきました。ひどい職場環境に長年耐えながら良い品質のサービスを心がけてきたパート組合員の言葉には重みがあります。パート組合員が順番に団体交渉に参加することによって、会社側も嘘や言い訳で団体交渉の場だけ体裁を整えて誤魔化すことはできなくなりました。交渉を通じて、これまではずさんだった老朽化した機械の整備やメンテナンスもきちんと行なうようになりました。C工場は機械だけでなく工場設備も老朽化しています。今後は機械の更新や工場の建て替えについても交渉していきます。

 

そしてついに冷房設備の設置!

そして2017年5月にグローバル全5工場に念願の冷房設備が設置されました。クールミストというエアーと水を同時噴射することで気化熱によって室内の温度を下げる比較的新しい冷房設備です。しかしもともとアイロンの蒸気などによって蒸し風呂状態の室内なので、梅雨になって窓を閉め切り排熱ダクトの熱気を室内に入れるようになれば、冷房装置の効果は薄れます。今後は冷房設備の効果を最大限生かすためにも、雨の日でも窓を開けて風を通せるようひさしの設置なども要求していきます。

 

<労働委員会について>

労働委員会とは、労働組合法第19条によって定められた、労働者の団結を擁護し、労働関係の調整を行うことを目的として国、地方公共団体に設置された行政委員会です。以下は厚生労働省のアドレスです。

http://www.mhlw.go.jp/churoi/

 

ネギシ・マタハラ解雇事件上告報告集会

2017-03-27

3月31日(金)18時30分より弁護士会館1006号室にて、「3・31ネギシ・マタハラ解雇事件上告報告集会」(主催・日本労働評議会東京都本部)を開催します。

報告者:ネギシ事件弁護団 橋本佳代子・加藤桂子・指宿昭一

:上告人Aさん及び日本労働評議会東京都本部

集会主旨:3月6日上告理由書を提出しました。本件は最高裁で均等法9条4項の判断がされれば初めてのケースとなり、妊娠中の労働者に対する解雇という不利益扱いの最たるものについて最高裁の判断を問うものです。また外国人を雇用しておきながら、異文化摩擦が原因の職場でのコミュニケーション不足を外国人労働者のみに帰責することは許されるものではありません。外国人労働者が益々増えるであろう昨今「異文化理解力向上措置義務」についても問うものとしてあります。報告を受け、参加者とこの裁判の意味を確認するとともに、署名運動などの取り組みの端緒にしたいと思います。

■事案の概要

 Aさんは30代の中国人女性。2004年に来日して大学等で日本語を学んだ後、2011年からカバンの製造・卸業の会社で、製造管理や営業サポート等の仕事をしてきました。ところが、社長に妊娠を告げた2か月後、これまで一度も言われたことがない「協調性がない」「社員として適格性がない」という理由で、突然解雇されました。

一審では勝訴。しかし均等法では判断されず 会社控訴へ

会社は一審で均等法9条4項の「妊娠・出産等による解雇ではないこと」を証明せんと原告に対して、数々の誹謗中傷を繰り広げましたが、均等法では判断されず、労働契約法16条での判断で解雇無効となり、Aさんは勝訴判決を得ました。会社はすぐに控訴し、舞台は高等裁判所に移されました。しかし二審では裁判官が、会社の主張を支持し、Aさん敗訴を匂わせ盛んに和解を勧めてきました。和解は有得ないと、最高裁まで争う決意で、Aさんと弁護団は判決を待ちました。

■昨年11月24日 高等裁判所判決―原告敗訴 今年3月6日最高裁へ上告理由書提出

二審では、ほぼ会社の主張を認め、均等法9条4項の判断をせず、そして労働契約法16条での判断としてもあり得ない判断を示し、Aさんに敗訴判決を言い渡したのです。

妊娠や産休・育休の取得を理由とするマタハラ解雇事件において、妊娠等を直接の解雇理由にするケースは稀であり、今回の件のように他の理由を挙げることが大半です。これでは均等法が制定された意味がなく、このような判決を許していては、働く女性が安心して出産し、職場復帰することが益々困難になっていってしまいます。ぜひ取材をお願いします。

国際自動車残業代請求最高裁判決について

2017-03-01

2017年2月28日、国際自動車第1次訴訟最高裁判決が出されました。一部の報道では労働者側が敗訴したかのような記事が出ていますが、主文は、破棄・差し戻しでした。もう一度高裁でやり直しになったということですが、この判決について労評顧問弁護士であり、この事件の担当弁護士である指宿弁護士から解説をしてもらいましたので、その文章を掲載します。

理由の要旨は以下の通り

1 労基法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するには、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否かを検討し、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを検討すべき(引用・高知観光事件最高裁判決、テック・ジャパン最高裁判決)。
 売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に、当該定めに基づく割増賃金が同条の定める割増賃金といえるか否かは問題となり得るものの、当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできない。
2 しかるところ、原審は、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否か、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを審理判断していないから、審理不尽の違法がある。
3 なお、原審は、法内労働時間や法定外休日労働にあたる部分とそれ以外の部分を区別していないが、前者につき支払い義務を負うかどうかは、労働契約の定めに委ねられていると解されるから、前者と後者は区別する必要がある。
4 未払い賃金の有無及び額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。

この判決の意味するところは何か

 最高裁判決は、国際自動車の賃金規則が、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否か、判別できる場合には、割増賃金の金額が、通常の労働時間の賃金の金額を基礎として、労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないか否かを審理しなおすために、東京高裁に差し戻すと言っています。「通常の労働時間の賃金」とは、残業をしない場合の賃金、すなわち所定内労働時間の賃金のことです。国際自動車の歩合給は、「通常の労働時間の賃金」から残業代等の割増賃金相当額を控除した賃金です。これに、加えて、割増賃金に相当する金額を支払っても、元々の「通常の労働時間の賃金」から割増賃金相当額が控除されているのですから、「割増賃金に当たる部分」を支払ったことにはなりません。
 最高裁判決の論理を本件に当てはめれば、割増賃金が支払われたとは言えず、労基法37条違反により、会社は労働者に対して、未払いの割増賃金を支払わなければならなくなるはずです。
 一部の報道は、今回の最高裁判決を、「歩合給から残業代差し引く賃金規則は「有効」」と報道しました。これは判決の読み間違えによる誤報です。判決は、賃金規則が労基法37条に違反して無効なのか、有効なのかを審理するために、東京高裁に差し戻したのです。そして、最高裁判決の論理は、賃金規則が労基法37条違反であることを主張するための有力な武器になるのです。
 労評は、大阪地裁で、トールエクスプレスジャパン事件を闘っています。この事件においても、今回の最高裁判決の論理が闘いの武器になります。しかも、トールはトラック運転手の事案です。国際自動車のようなタクシー運転手が、ある程度の自由裁量に基づき労務を提供しているのに対して、トールのようなトラック運転手は、受け持ちの配送ルートが決まっており、会社からの指示によってやるべき仕事が決まっています。会社の命令で残業をさせられているのに、能率給から残業代等の割増賃金が控除されてしまうことが不合理であることは、誰の目にも明らかです。
 国際自動車事件とともに、トールエクスプレスジャパン事件は、労基法37条を守り、1日8時間、1週40時間労働制の原則を守るための重要な闘いです。全国の交通運輸労働者の権利擁護のため、共に闘いましょう。
 国際自動車事件弁護団 弁護士 指宿 昭一

凸版印刷 都労委証人尋問終わる 今年の夏までに命令

2017-02-28

都労委証人尋問で凸版印刷の団交拒否を暴く

昨年3月31日に凸版印刷に団体交渉を申入れて約1年、凸版印刷は未だに団体交渉に応じていません。昨年5月12日に都労委に不当労働行為救済申立てを行って以来、都労委はまずは団体交渉に応じたらどうかと説得に説得を重ね、和解案まで提示して解決に尽力してきました。しかし、凸版印刷はそれを拒否し、昨日証人尋問に至ったのです。勿論、この背景には凸版印刷の代理人である番町綜合法律事務所が介在しているのであり、都労委の懸命な説得にも耳を貸さないのは弁護士の意向であることは明らかです。

開き直ることしかできない証人

証人に立った総務部長は陳述書でも「団交は拒否していない、労評に質問しても誠実な回答が得られないから実現できない」と嘯いています。この日の証人尋問でも、労評は始めて接する得体のしれない団体だから質問をしたが、納得のいく回答が得られないなどと述べ、何が不明なのか具体的に資料などを請求して説明を求めたのかと聞いても、していないとしか答えません。それでは労評から具体的に回答などできないではないかと言っても、組合から積極的に説明がされるものだと思っていたと答えるのみです。証人の陳述書には「ファックスで書面が送られても、この団体は本物か労評を語る偽物か区別がつかない」などと平然と述べていますが、証人尋問で何で確かめようとしないのかと聞いても、答えに詰まるばかりです。労務担当としての責任も自覚もない無気力な態度に終始しました。

凸版印刷労組とは団交を行っていながら、労評を拒否することの不当性

この総務部長は日常的には凸版労組と団体交渉を行っており、同じ労働組合である労評との団体交渉に応じなければならないということは分かっているはずです。合同労組を良く知らないと証言しましたが、ネットで調べれば、弁護士事務所や社労士のサイトには「合同労組とは団交をしなければなりません」と書かれてあることはすぐにわかります。番町綜合法律事務所が代理人にならなければ、団体交渉はとっくに実現していたでしょう。弁護士が作成した凸版の書面は例のごとく「貴殿らと当社との間には何らの使用従属関係もない。申入れを行える事実的、法律的根拠」を示せというものであり、それに対してどのような説明をしようが、「当を得ないものと思料します」としか言わない姿勢を指南されていることで、凸版印刷は愚かにも違法行為をしているのです。

凸版印刷では問題すべき労働問題が山積

労評は凸版印刷で団体交渉を開催話合いをしなければならない、問題にすべき事項がたくさんあります。まずはパワハラです。都労委で証人に立った組合員はすさまじいパワハラの実態を語りましたが、罵倒やののしり、人格否定の暴言などが一定の役職者によって繰り返されてきた事実を問題にしなければなりません。会社のヘルプラインに通報しても、その情報が漏れてしまい、通報した人が逆に当事者から報復を受けるような杜撰な制度になっています。また、営業の労働者は固定残業代が38時間分の手当として支払われていますが、70時間までは残業をしても38時間分の残業代しか支払われません。これを会社と凸版労組で約束していて、凸版労組は労働者の利益を守ろうとしません。労評が団体交渉を開催することで、これらのコンプライアンス違反を始めとする職場環境を改善していきたいと思っています。

凸版印刷はこれ以上違法行為を続けるのか

労組法第7条2号事件(団体交渉拒否等)は、会社が団体交渉を拒否できる理由があるかどうかに争点がありますが、この間の経緯からして凸版印刷の取っている行動に正当性がないことは明白です。それほど時間を掛けずに、凸版印刷の不当労働行為を認定した命令は出るでしょう。早ければ6月位に命令が出ます。問題はその後です。凸版印刷は番町綜合法律事務所の弁護士の意見に唯々諾々と従って、中央委員会で不当労働行為の命令を受け、それを不服として行政訴訟を行い、地裁で敗訴を重ね続けても破廉恥に団交拒否を続けるのかどうかです。われわれは命令に従わないのであれば、凸版印刷の違法行為を徹底的に暴いて、追及します。大企業なら卑怯な真似はしないことを望むものです。

 

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