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アイムジャパン団交報告 パワハラ・セクハラ問題を団体交渉で認めさせる!

国内最大の外国人実習生監理団体からの労働相談

公益財団法人国際人材育成機構アイム・ジャパンで働く労働者から労働相談がありました。アイム・ジャパンは全国に支局があり、外国人実習生を受け入れる監理団体のなかでも国内最大規模と言われています。

相談をしてきた労働者はすでに退職を決めていました。原因は、上司によるセクハラ、パワハラです。入社した当初からセクハラ発言が日常的に行われており、それを避けようにしていたら、今度はきつい態度で当たられるようになりました。もちろん、生活もかかっているのでできることなら続けて働きたい気持ちはあり、迷いましたが、加害者である上司は「自分はこういう性格だから。ここでは自分が社長みたいなものだから。」と開き直る態度であり、到底変わることは期待できず、退職を決意しました。しかし、退職を決めて以降も、仕事を与えないなど、ひどい嫌がらせを受け、それを法人本部に告発しても、結局、大した調査もされずじまいでした。自分は仕事を失わざるを得ない状態に追い込まれているのに、上司は何のお咎めもないという理不尽は許せないし、このままでは同じように苦しむ労働者が出てしまうと思い、何とかならないかと相談先を探し、労評にたどり着きました。

 

団体交渉、非を認めようとしない法人

団体交渉を申し入れ、計4回の団体交渉を行いました。団体交渉では、パワハラ、セクハラの経緯を明らかにし、加害者への適切な処分を下すとともに、再発防止策を徹底することを要求して闘ってきました。

法人の態度は、一言でいうと、最初から最後まで「自分たちはパワハラ、セクハラ対策をしっかりやっている!」という態度が満載でした。大手の法人でもあり、内閣府の指導管轄にあるというお役所的な性格があるところなので、表向きは比較的丁寧に対応してきていました。しかし、パワハラ、セクハラが起きて一人の労働者が退職に追い込まれた現実を前にしても、「法人としては対策をきちんと取ってきている」と本気で自信満々に考えており、「なんでそんな問題が起きたのか不思議だ」くらいの、非常に無責任、傍観的な態度を悪びれもなくとってきていました。実態をきちんと聞き取り調査するように労評から要求しましたが、加害者は当然、自分を守るように証言しますし、周辺の労働者にとっては上司のことを悪く言うことは簡単にはできません。そんなことをしたら、次は自分が嫌がらせを受けるであろうことは容易に想像がつくからです。そのようなことも考慮せず、「調査はしたが、そのようなことは認められなかった」と、こちらから提示している被害をほんの一部分しか認めてきませんでした。

上記のように、何度言ってもまともに調査もしないような不誠実な態度について厳しく追及し、このままなら社会問題化も辞さないという強い態度で交渉を進めていきました。

 

勝ち取った成果

3回の団体交渉を経て、これ以上交渉を重ねても本質的な姿勢は変わらないと評価を下し、また一定の成果を勝ち取ることができているなかで、4回目の団体交渉で終結に向かうことにしました。勝ち取った主な成果は以下の通りです。

・加害者の本部への異動(事実上の降格)

・注意喚起文書を内実のあるものに改訂すること(当初、法人が作成してきたものは、法人の責任を認めないような表面的なものだった)

・その注意喚起文書をもって全支局長参加のハラスメント特別研修を実施、そのもとで全支局員への同様の研修を実施、その状況を本部へ報告すること

・法人、加害者個人からの再発防止の意思表明

これらは、当該労働者が声を上げ、労評のもとで団体交渉をしなければ為されることはなかった大きな成果として評価できます。

ただし、もし今後、同様のことが起きたら、今度こそ話し合いではどうしようもなかったと言わざるを得ず、問題解決のために大々的に社会問題化していくことについて、最後に釘を刺しました。内閣府への通告はもちろんのこと、記者会見をして世論にも訴えることによって、法人の姿勢を徹底的に問い正していく、また、同様の問題は全国の支局にある恐れがあり、全国の支局での情宣活動を行う、という内容を最後に突きつけました。

 

声を上げることによって変えることができる!

アイム・ジャパンは国内最大の外国人実習生監理団体ですが、この度の団体交渉のなかで分かったことは、上層部は問題を問題として認識しておらず、これではまた同じような問題が起こる、またすでに起こっている恐れは大いにあります。そのなかにあって、一人ではどうしようもなく、泣き寝入りしている労働者も多くいると思います。しかし、一人の声では難しいことも、労働組合という団結の力で闘うことができることが、今回の闘争のなかで証明されました。

団体交渉の過程で、被害にあった労働者の声をきちんと聞け、と要求した時に、「パートだから」「辞めた人のことだから」という言葉が法人側からポロっと出ることがありました。これは、代わりの労働力はいくらでもあるという、労働者の人権と生活を軽んじている発想から来ています。しかし、日々の業務を支えているのは一人一人の労働者であり、この労働の矜持(誇り)を踏みにじる行為を許してはいけません。とりわけ、アイム・ジャパンは、「現代の奴隷制度」と言われる外国人実習制度をもって成り立っている組織です。外国人実習生制度自体が労働者を人として見ていないものであり、人を人として見ない価値観は他の資本に比べても強くあるのではないでしょうか。このような価値観に対抗していくには、一人の力では難しく、労働者の団結の力で闘っていくことが必要です。

全国のアイム・ジャパンの労働者のみなさん、さらにはパワハラやセクハラで苦しんでいる労働者のみなさん、労評には一緒に闘う仲間がいます。問題があれば、ぜひご相談ください。


〇連絡先〇

日本労働評議会(労評)

TEL:03-3371-0589 FAX:03-6908-9194

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