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【労評QB分会】東京地裁第4回書面準備手続期日報告

10月6日、QB裁判闘争の4回目期日が行われました。今回から書面準備手続となり、裁判所での対面の期日ではなく、Teamsを使用したオンラインで行われています。

今回の期日では、被告古川から準備書面が提出されました。問題となっていた「有限会社ティー・エフカンパニー(以下、TF)」について、裁判所から「①TFから契約を承継した原因事実・日時を主張し証拠を提出すること」「②TFの登記簿謄本、原告らの賃金台帳、労働者名簿などを提出すること」を求められ、その回答が届きました。

TFから契約を承継した原因事実とは・・・?

被告古川からの準備書面を引用して説明します。

TFは、本来、社会保険の強制適用事業所ではあったが、新規適用(加入)の手続きをとっていなかった(つまり、社会保険に加入していなかった。)当時、被告古川において、法令及び社会保険等に関する知識に乏しかったためである。したがって、社会保険の適用事業所又は被保険者資格取得喪失等に関する資料は、(もともと)存在しない。

法人であれば、どのような企業でも社会保険に加入する義務があることは周知の事実だと思いますが、加入手続きをとっていないことを「正直に」主張したのです。この点は団体交渉時にも追及しており、被告古川と代理人弁護士が回答に窮するシーンもありました。

また、TFで雇用していた際の労働者名簿も既に破棄したということで存在しないと主張しました。

原告らの雇用主をTFから被告古川個人に変更した理由は、上記の社会保険未加入にあった。被告会社の上場審査の過程において、業務委託先との業務委託契約の内容や業務委託先のコンプライアンスに関して主幹事証券会社等により精査され、業務委託店のコンプライアンス確保のために、被告会社から、社会保険への加入又は同加入が義務づけられていない個人事業主への変更を要請された

なんと、社会保険未加入の方針は被告キュービーネットが要請したというのです。確かに団体交渉時にも被告古川は述べていましたが、ここまで詳しい背景事情は出てきませんでした。これは、違法行為の隠ぺいの目的被告キュービーネットが被告古川に対して個人事業主への変更を示唆したのではないかという疑いも出てきました。法人であるTFが社会保険に加入していなかったことは違法なことであり、「コンプライアンス確保」のためには、違法状態を解消し、過去に遡って社会保険加入をすべきでした。これをしないで、個人事業主への変更を示唆したのであれば、大きな問題です。

おそらく、主幹事証券会社からは、業務委託先であるTFが社会保険未加入という違法なことをしていることについて指摘され、違法状態の解消が求められたのだと思います。TFが違法状態を解消するために、過去に遡って社会保険に加入すべきだったのに、それをしないで、個人事業主への変更をしたということは違法行為の隠ぺいであり、それを示唆し、また、容認した被告キュービーネットの社会的責任は大きいと思います。

さらに、社会保険料についても言及されていました。

平成26年4月当時、被告古川は、37店舗を経営し、従業員は約120名であった。年間で合計数千万円にもなる社会保険料の使用者負担分を負担することは、現実的に不可能であった。そこで、被告個人として雇用することとなった。

あっさりと主張していますが、とんでもないことを主張しています。先ほどもですが、法令や社会保険の知識に乏しいとか、年間で合計数千万円にもなる使用者負担が現実的に不可能とか、事業を行う者としてあるまじきことではないでしょうか。「年間で合計数千万円にもなる社会保険料」を支払うのが法人であるTFの法的義務であり、それが「現実的に不可能」であるなら、違法なことをして法人を存続させていたということになります。また、本当にそれが、「現実的に不可能」とは思えません。

労働者を雇用する事業主ならば、税理士や社労士を雇い、コンプライアンス遵守で経営するのが企業の社会的責任でしょう。しかし、真逆のことを主張しているようなものです。例えて言えば、「万引きをやってはいけないとは知らなかった」「お金が無いから万引きしないこと現実的に不可能であった」と言っているようなものです。

 

労働者に、雇用主が変わる説明をした?

契約が変わる過程についても主張していました。

上記事情については、平成26年4月に雇用主をTFから被告古川個人に変更する際にも、労働者全員に説明した。(中略)また、本件組合との団体交渉において、原告らに対し、(あらためて)説明済みである。

皆さん、本当に「TFから古川マネージャーに雇用が切り替わりますよ」などという説明を受けましたか?

受けていませんよね?

労働者からすれば、雇用主が変わるなんて出来事は、将来への不安や賃金のことなどが付き纏う重大な問題です。しかし、分会の組合員は説明を受けていないし、原告のなかには雇用契約書も取り交わされていない者もいるのです

 

次回の期日でいよいよ原告から反論!

これまで被告QB、被告古川から提出された書面に対し、今度は原告から反論していくことになります。

かなり突っ込みどころのある主張が沢山あるので、ここからさらなる展開に期待していただきたいと思います。

また、裁判に限らず、被告キュービーネットはあらゆる労働条件の差別を是正し、法令遵守に勤めるべきであり、プライム市場上場企業としての社会的、道義的責任を負う立場にあることは疑いのない事実としてあると思います。この点からも、我々は手を緩めることなく果敢に闘っていきたいと思います。

労評QB分会と共に闘い、共に労働者階級の利益を守る活動に挑んでいこう!


 

第5回書面準備手続期日(オンライン)

11月21日(火)13:10~

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