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労評グローバル分会の活動報告その1

千葉県のグローバル分会の活動を4回に分けて報告します。クリーニング業界の労働組合活動の一つの事例ですが、労働法令が守られてこなかった職場に労働組合ができ、労働者の権利を確立しながら経営側と交渉する過程を詳しく再現しています。他の中小企業で労働運動をしている労働者の参考になると思います。

第二回団体交渉開催!

【岩瀬、松戸工場における突然のシフト変更・・・なぜ?】

9月に会社は、大幅なルート変更を行ない、10月から岩瀬工場は週2日休業、パートは週3日勤務になりました。最初の議題として、それについて組合から会社に説明を求めました。

会社:岩瀬のパートのシフトがひっぱくしている。10月途中で103万になる人がたくさんいる。みなさんからご指摘もあったので、しかるべき時期に手を打たなければ、と。今の内から仕事量の調整図って一極集中しなければ、という判断。

組合:岩瀬は良いが、松戸についてどう考えているのか。103万は守れるのか。過半数は組合員。

会社:130万OKの7人+新しい人4人+人員確保7名(派遣)の話も進めている。まだ確定ではないが。それで何とかうまくできるのでは、と思っている。103万の人に無理に働かせることはない。社員に遅くまで残業もないと思う。

組合:派遣は臨時で?それともこれから先ずっと?

会社:とりあえず臨時。まだ先のことはどうなるかわからない。

 

団体交渉の途中で組合員のシフト変更「ルール違反!」

組合:まだ「組合」に慣れていないからかもしれないが、団体交渉している途中でいきなり組合員のシフト変更。組合のルールに反している。今後は組合との交渉を通じて決めてもらいたい。

会社:皆さんから見たらけしからんと思われるところもあるかもしれないが、私も一生懸命人手不足対策に取り組んでいる。理解してほしい。今後は本部に文章を出す。

 

岩瀬工場に新しい人が入らないのはホームページの写真のせい?!

会社:ところで応募は松戸で4。馬橋3。岩瀬0。どうお考えになるか?

組合:受付窓口が松戸ですよね。窓口を各工場にしてもらえれば良いのでは。岩瀬と松戸は近いので、どちらでも可能だと思う。あとは通勤手段。

会社:ホームページの画像とかを見て引いちゃって電話を掛けない人もいるのでは。

組合:「日本労働評議会」という名前を知らないとホームページは見れません。

組合:反対側の道路から映した工場の外観の写真のことですか?

会社:工場長の車も写っている。

組合:小さすぎて見てもわからないですよ。どんどんページは更新されているし、他の会社も写真は載せているし、問題ないと思う。改善の報告もしているので、良い効果もあるのでは。

会社:とりあえず岩瀬工場にも人が来るようにお互い協力して策を考えていくというところで。

 

【パートの時給60円アップは全工場でやるべき!】

組合:上げるなら全体で上げるべき。新人より技能が劣っている人はいない。

会社:960円というのが適当なのかよくわからなかった。もし集まらなければもう少し上げようかなとも思って。時給が上がるのは試用期間明けの11月から。できるだけ103万の枠を有効に使いたいので、他は1月から上げようと思った。

組合:同じ仕事しているのに、新人が入った工場だけ上がる。納得できないですよ。

組合:パートもちゃんと求人を見てる。なぜ自分たちは上がらないの?」と聞かれると答えに困る。組合は格差をなくすためにやってる。格差を認めることはできない。

会社:誤解されているようですが、みんな上げるのは1月からじゃなくて12月からです。給料に反映されるのは1月から。1ヶ月ないし2ヶ月くらいなので・・・

組合:1ヶ月しか変わらないなら、全体で上げたらどうですか。

会社:その分働けるんですよ・・・。

 

【タイムカードは11月から?】

会社:前向きに検討している。社員は7:30~17:00、休憩は1時間半。

組合:実際に休憩を1時間半取れるようにするのか?

会社:工場長に休憩は1時間半取らせるように言う。(これまで、働いた分の給料が支払われていなかったことについて)悪意はなかった。平日早く上がっても土日にその分やってもらえれば、と思っていた。その代りこれからは平日も17時まで仕事をしてもらうことになる。

組合:それはこれまでもやっているので問題ない。いつ頃からタイムカードになるのか。

会社:労働時間については10月から始めて、タイムカードは11月くらいから始めようと思っている。

 

そのほかの事項

◎組合活動に対する配慮(組合掲示板の設置、組合会議の休憩室利用、組合郵便物の受領、組合活動で他工場に立ち入ることなど)については会社が文章で回答(色々な理由をつけて「認めない」という主旨のもの)を書いてきたので、それに対して組合からの反論を行ないました。弁護士からの提案で、反論の内容をさらに詳しく書いて提出したうえ、いつどこを使いたいかなど組合から具体的な案を文章にして10月3日までに会社に送ることになりました。

 

36協定(残業をさせるための会社と従業員代表の協定)については、過去の協定は、会社が文章の説明もせずに一方的に署名させ、印鑑も会社が用意した三文判を押印させており、誰が従業員代表かという事実も他の従業員は誰も知らない状態であったという事実を伝え、今後はちゃんと従業員の意志で従業員代表を選び、従業員全員の投票によって決めることを約束させました。

 

◎組合員(社員)の未払い残業代について請求しました。これについては後日、組合から会社に組合員の名前を伝え、具体的な額を計算します。(組合員も了承済みです)

◎資格手当について クリーニング師の資格を持っている組合員(社員)2名の資格手当が支払われていなかったことを提示すると「資格を持っていることは知っていた。支払われていると思っていた。支払います。」とのことで、これまで支払われていなかった分もさかのぼって支払うことを会社は約束しました。

◎その他にもニアの減給廃止について、②岩瀬以外の工場でも就業規則を周知(いつでも見たい時に見られる状態に、できれば休憩室で)すること、③岩瀬工場でも、近隣住民に騒音を配慮した策を講じて窓を大きく開けられるようにすること、なども組合から要求し、会社は「検討します」という回答でした。

 

◎これまでの合意事項に基づき、組合は「労働協約」を会社に提出しました。主な内容は、「会社は組合に対して誠実に対応する。組合員への差別や不利益取り扱いをしない。組合も会社に損害を与えるような行為はしない。仕事時間を使っての組合活動をしない。」というものです。

 

<まとめ>

人手不足対策について組合として交渉したことで、会社は①パートの「103万円枠内で」という意思の尊重、②社員の残業時間の制限、をやっと本気で考え始め、動き出しました。

 

今まで、個人的にいくら会社に訴えても変わらなかったことが、組合として会社に団体交渉を申入れ、対等な立場で話し合うことで、組合の要求項目に対して、経営者は検討し、回答を出しており、改善も進みつつあります。会社は、やろうと思えばできることを、今までは最も安易でお金がかからない「労働者に負担を押し付ける」という方法で乗り切っていました。しかし、会社が頭を使って工夫し、一定のお金をかければ、労働者に負担を押し付けなくても会社が回っていくことが今回実証されました。

 

毎日真面目に働いて会社を支えている労働者の道理ある要求を組合としてまとまって出せば、会社も無視することはできません。今、会社を動かしているのは、組合員である皆さんの数の力です。岩瀬工場、松戸工場に続き、馬橋工場、北柏工場、柏高田新工場でもみんなで組合に加入し、会社と対等な立場で話し合い、働きやすい職場を作っていきましょう。

 

☆第二回団体交渉の後、3工場でパートの新規採用があり、3工場でパートの時給が60

アップしました!他の工場でも12月から60円アップする予定です。

 

労評グローバル分会 2016年10月2日

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