三菱重工業不当解雇事件で提訴
12月20日、三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所を休職していた30代の労働者が復職を求めて交渉していたところ、名古屋小牧工場以外の勤務地は認めないとして、東京周辺の勤務地を要望していた原告及び家族の願いを聞き入れず解雇した事件に対して訴訟に踏み切りました。解雇は無効とする争いの裁判です。毎日新聞(地方版)に載っています。
平成22年9月中旬から原告は、自分に命じられた配置転換が納得のいくものではなかったこともあり、自分の机の前でパソコンの画面を見続ける状態で一日過ごす日々が続きました。それに対して会社は「仕事をするように説得を繰り返した」(団体交渉での説明)というものの、実際は放置していました。それが12月下旬まで続きました。3か月半もの間、一日中パソコンに向って仕事をしないで座っている状態がつづいたら、精神的に変調をきたします。平成23年1月から原告は精神的疾患で休職に入りました。
労評は団体交渉でもって、この三か月半の会社の安全配慮義務違反を問題にしましたが、会社は非を認めなかったため、せめて復職をさせて今後も雇い続けることを約束してもらおうと交渉しましたが、会社は小牧工場以外の配置はできないとして、小牧工場への就業を命じました。原告の主治医は「家族と一緒に暮らすことが必要」との診断書を出していますが、会社は「小牧以外に仕事はない。」「そんなに心配なら家族が名古屋に移ればよい。」として、まともに取り合おうとしません。会社のこのような主張は労働契約法第3条第3項に反しますし、厚労省の心の病気にかかった労働者の復帰支援の手引にも、原告の元の職場に戻すことが不適合である場合は配置転換などをする必要があることを説いています。
三菱重工業のやり方は明らかに解雇回避努力義務を果たしておらず、解雇権の濫用にあたるものです。労評は原告とその家族の訴えを支持して裁判闘争を共に闘っていきます。皆さんの支援をお願いします。